気になるコメントも来たので「差別」の問題をもう一度考えておきたい。

大坂なおみは直接的には「黒人が警察官に射殺された事件」に対する非難のアピールをした。
しかし、彼女は殺害された黒人に成り代わって非難をしただけではない。
自由と民主主義の国、そして人権が守られている国、アメリカで、公権力である警察によって人口的には少数派の黒人が、はるかに多い白人よりも、毎年たくさん殺害されていること。その背景に、黒人が教育環境、生活環境においてはるかに劣悪な環境で生きていることに、気が付いてほしいと抗議したのだ。

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野茂英雄が1度目のドジャースにいた時代だから、ずいぶん前の話だが、私はロサンゼルスでホテルの前に座っていた黒人の女性に唾を吐きかけられたことがある。ダウンタウンのホテルの周囲には、たくさんの黒人の男女がたむろしていた。
それだけを見れば、黒人は危ない連中だとしか思えない。しかし、黒人がそうした境遇にいるのは、彼らが怠け者だからでも、資質的に劣っているからでもない。
生まれ落ちた瞬間から経済的にも社会的にも白人とは差別され、努力しても逆転できないハンデキャップを負っているからだ。
その絶望感が犯罪者、問題行動を起こす黒人を増やしている。そうした差別的な構造が何世代も受け継がれて、差別が固定されているのだ。

日本でもそうである。少し前まで部落出身者は良い企業には就職できなかった。一流企業の人事部や総務部には「地名総鑑」という「どこが部落か」を示した書物があって、履歴書の段階で彼らをはねることができた。また在日韓国人、朝鮮人もいい企業には就職できなかった。今は相当改善されたが「地名総鑑」の類は、いまだにネット販売されている。
彼らが実力だけで出世できたのは、スポーツ界や芸能界だった。私は上方落語協会に勤めていたことがあるが、親族の葬儀に参列して、川の中州や崖下など人の住居とは思えないところにある家に行ったこともある。スポーツ界で在日2世の選手が多いのも常識になっている。

要するに差別は、積極的に加担しなくても「そのままの状態」を維持するだけで再生産され、格差は広がっていくのだ。

いつの時代も「犯罪を犯す被差別者が悪い」「悪いことをするから差別されるのだ」という浅はかな人は存在するが、実は彼らが差別を助長している。

「差別はいけない」と言い続けるのは、骨の折れることではあるが、言い続けること、社会の意識が変わるように働き続けることが大事なのは、それでしか解決の道がないからだ。

大坂なおみが偉いのは、そんなことをしなくてもリッチで安楽な生活ができるのに、あえて声を上げているからだ。


中日・ナゴヤ球場・ナゴヤドーム・シーズン最多本塁打打者/1950~1988、2007~2019

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