前のスポーツ庁の鈴木大地長官には、昨年5月にインタビューをしている。

スポーツ庁の応接室で30分程度話を聞いたのだ。

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端的に言えば“象徴的存在”という感じで、スポーツ庁の「顔」として、文科省、スポーツ庁の考える政策を推し進めるために存在していた印象だ。スポーツ界の現状について熟知しているという感じではなく、官僚が書いたサマリーを頭に入れて話をしているという印象だった。

しかし鈴木長官は高校野球など「部活」の在り方に批判的だったのは間違いない。そのきっかけになったのは「キューバ野球視察」だったようで、子どもたちに自由に野球を楽しませるキューバの少年野球のやり方に痛く感激し、炎天下で試合をさせたり、投球過多を強いる高校野球には批判的なメッセージを送っていた。また「生涯スポーツ」に対する理解も深かった。

任期満了で退任した後に長官になった室伏広治も金メダリストであり、カリスマ的な人気を博するヒーローという点では鈴木大地とよく似ている。

ただし室伏はエリートアスリートという印象が強く、東京オリンピックの旗振り役としての役割を期待されているのではないか、と思われる。政権も「オリンピック」に向けて傾斜が強まっているように思う。

来年に予定された東京オリンピックは、政権や経済界の期待感が高く、アスリートや一般の国民を置き去りにして強引に推進してきたという印象もある。

新型コロナ禍は、日本でもまだ終結していないが、世界では1日の感染者数が最高を記録するなど全く衰えていない。来年7月の通常開催は極めて厳しいと思うが、そんななかで本来、適切な引き際を提唱すべきスポーツ行政の長が「予定通り開催」のアイコンになってしまう可能性があるだろう。
IOCは予定通りの開催に自信を示しているが、世界のスポーツのために何が最善なのかを予断を入れず判断をすべきところが、政権や利権層のメンツ防波堤になってしまうのではないかと思う。

室伏新長官がどんなメッセージを発するのかに注目したいが、スポーツ庁長官はエリートアスリートの代表ではなく、すべてのスポーツを愛する人の代表であることを、改めて認識してほしいと思う。

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中日・ナゴヤ球場・ナゴヤドーム・シーズン最多本塁打打者/1950~1988、2007~2019

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