東スポ
熱血指揮官が再び球界に緊急提言だ。巨人・原辰徳監督(62)が9日、トレードを筆頭とする「補強期限の撤廃」と「支配下選手70人枠の撤廃」を訴えた。これまでにも「セのDH制導入」「FA人的補償の撤廃」など提案してきたが、賛同の声はそれほど多くなく、球界全体を巻き込んだ議論にまでは発展しなかった。それでも今回は風向きに変化が…。他球団からは「原提言」の一部に同意する声も上がっている。
トレード期限を設けているのは、シーズン終盤になって優勝争いなどで競っている金満チームが、補強のために下位チームの主力選手を引き抜くような状況を防ぐためだ。
今季でいえば、ロッテと競り合っているソフトバンクが、下位に低迷するオリックスの吉田正尚や山本由伸、ヤクルトの山田哲人などを引き抜くような状況だ。

MLBでも通常シーズンは7月末をトレード期限としているが、期限が近づくと下位球団の主力選手が放出されている。「フラッグシップディール」と言うが、大型契約満了間際の選手がよく移籍する。2017年、レンジャースのダルビッシュはフラッグシップディールでドジャースに移籍した。
MLBでもしトレード期限がなかったらシーズン最終盤の9月になって大物選手をごぼう抜きするようなケースが続出するだろう。それも面白いという意見はあるだろうが、露骨に「勝利、優勝を金で買う」ことになってしまう。
MLBやNPBのようなクローズドリーグは、一部のチームだけがずっと強くて人気を集め、他のチームがずっと冷や飯を食うようではリーグは反映しない。「自由競争」と「戦力均衡」を常に両立させなければならない。

また支配下選手枠は、NPBにしかないが、これも戦力均衡のために設けられている。かつては60人だったが、1991年にドラフト外での入団がなくなったのと同時に70人になっている。さらに2005年からは育成枠での選手獲得が可能になっている。
70人枠の撤廃とは、要するに、財力のある球団が戦力になる選手を無制限に抱えることを意味する。

巨人はこれまでも各球団の主力選手を獲得してきた。中には主力級を獲得してもろくに起用しないこともあった。飼い殺しだが、それでも他球団の戦力を削ぐことができればそれでいいという見方もあった。

原監督はなかなか進まない「日本版ルール5ドラフト」の代わりになると言っているが、少し違うように思う。

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今の巨人が昔のように金に飽かせて勝利をむさぼろうとしているかどうかはわからない。
しかし、この提案は、ヤクルト、オリックス、中日、広島などストーブリーグで実質的に「何もしていない」チームにとっては迷惑この上ないだろう。こうした球団の年俸総額は横ばいか下がっているのだから。

そういう意味では、原監督の提案は、現在の感覚では「巨人が横車を押した」と断じることはできない。
「年俸は上げないが、選手も手放さない」という後ろ向きの球団に改革を促す意味があるといえるだろう。

しかしそれより先にやるべきことがあるだろう。NPBはまだ元気のあるうちにエクスパンションをして、マーケットを広げるべきだ。そして全国にある独立リーグやクラブチームを傘下に収めて、その中で人材育成をするべきだ。

新型コロナ禍ではあるが、昭和の感覚のままの経営しかできない球団は、球団を売却して撤退すべきなのだ。NPBは、もっと新しい感覚でビジネスができる企業が資本を持つべき時が来ている。


中日・ナゴヤ球場・ナゴヤドーム・シーズン最多本塁打打者/1950~1988、2007~2019

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