瀬戸大也というアスリートの不倫騒動は、以前書いたように彼のワークやキャラクターと絡みついて、生々しくて仕方がないが、この記事には感心した。
瀬戸大也選手の妻・優佳さん「このままでは家庭が壊れてしまうかもと思っていました」
出張帰りの新幹線で読んでいたのだが、この記事はセンセーショナルな言葉遣いもなく、しっとりとした丁寧な文章になっている。

冒頭で、夫に不倫の事実を告げられた時のことを「振り返ってみても一切思い出せない」といい「感情の糸がプチッと切れた」と言っている。その表現は正直で、リアリティがあるが、それでいて不快な感じはしない。

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関西では馬淵家と言えば、「飛び込み一家」としてよく知られている。彼女の父は中国の飛び込み選手で、日本を代表する飛び込み指導者だった馬淵良、馬淵かの子夫妻の縁で日本に帰化している。娘の馬淵よしのはタレントとして活躍した。彼女は「オリンピックに出ること」を定められた家系に生まれたと言える。

だから瀬戸大也の置かれた境遇もよく理解したうえで結婚したはずだ。アスリートの道を断念し家庭に入った彼女はベストパート―ナーとも思えたが、瀬戸が活躍とともに有名になり、スーパーアスリートのような存在になっていくとともに「壊れていった」のだ。
馬淵優佳は、これが原因で夫が不倫に走ったと言っている。事実関係はともかく、彼女はこういう形で今回の不幸を理解したのだ。

そして彼女はこれを『神様が私たちを試してるんじゃないかな?』と思い始めたとしている。深い悲しみの中で、何とか整理をつけよう、事態を受け止めようとするけなげな姿勢が見て取れる。

今、彼女は夫と別居して生活しているが、連絡は取っている。しかし今後どうなるかはまだわからない。

この記事が素晴らしいと思ったのは、馬淵優佳がこの文章で世間に弁解しようとか、夫の許しを乞おうとか、反対に夫を攻撃しようとか、そういう意図がないことがわかるからだ。
正直に今の気持ちを話して、世間が、この出来事に対して「さらに深い理解」をしてくれるように求めているのだ。もはや秘密にできないのであれば、そういう形で事態を乗り越えていこうとしているのだ。

もともとこの記事を掲載したFRaUwebは、馬淵優佳のライフスタイルについての連載を始める予定だった。事件が起こって、編集部は彼女を気遣って中止する意向を伝えたが、彼女の方から「私は自分の人生をきちんと生きたいです」と言い、連載を始める意思を伝え、今回の事件について語ったのだ。

編集部はこれを了承し、極めて異例の「被害者が進んでスキャンダルについて語る」記事が成立したのだ。この記事が凡百のスキャンダル記事と全く異質なのは、彼女自身が乗り越えるべき課題としてスキャンダルに正対し、FRaUwebがそれをそのまま記事にしたからだ。

ある意味で彼女の素直さ、正直さが、夫が引き起こした汚らしい「不倫」と言う事件を浄化する役割を果たしていると思う。世間は彼女を理解し、応援する気持ちに傾くのではないか。

誰にでもできることではないが、スキャンダルが発生したときに「正直」というアプローチがあることを教えてもらった。こういう記事を書いてみたい。


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