少し前まで私も見に行ったり取材したりしたが、女子プロ野球の話題はぱったり途絶えてしまった。

日本女子プロ野球機構は2009年に発足した。「わかさ生活」が出資をしてトライアウトを実施して、翌年から2チームでペナントレースを開始した。

球団数は関西を中心に4球団にまで増え、ファンも付いてきたが、2013年にいきなりレイアが北日本、宮城に本拠地を移転するなどフランチャイズがたびたび変わった。
また、ある時期は選手を名字ではなく、「伊織」「真理」など下の名前だけで呼んだ時期もある。水商売みたいだったし、誰が誰だかわからないし、極めて不評だった。

こうした変更が事前の予告もなくたびたびおこなわれたのは、女子プロ野球の運営が実質的に「わかさ生活」創業者の一存で決まっていたからだ。
金は出すが口も出すというより、もともと自分の趣味として女子プロ野球を運営した。この人自身の「野球観」「女性観」が色濃く反映されていたといえるだろう。

ファンは結構辛抱強く女子プロ野球にくっついていったが、だんだんに愛想をつかすようになっていた。
こういう調子だから、リーグ運営が順調なはずもなく、2018年ころから経営難の話もあった。

競技人口がどんどん減っている日本の野球界にあって女子野球だけは競技人口が増え続けていた。女子野球部を創設する中学、高校も増えていた。他の企業の中にも女子プロ野球への参入を考えるところが出て来ていた。
栃木ゴールデンブレーブスを運営するエイジェックなどもそうだが、そうした申し出を「わかさ生活」側ははねつけた。

女子プロ野球からはどんどん人が抜けていった。ずっと女子野球を応援してきた長谷川晶一さんも記事を書かなくなった。

リストラが進み、加藤優など人気選手もいなくなった。2020年は最小限の人数でペナントレースが行われた。一度試合から退いた選手が再度出場できるリエントリー制度も導入されるなど、トップリーグの体をなさなくなっていた。

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それでも女子プロ野球は存続している。いっそつぶれてくれれば、NPB球団やエイジェックなど女子プロ野球に可能性を見出す企業が、新リーグを作ることもできるだろうが、ぼろぼろになってもなまじ存続しているために、次の一手が打てない状態だ。その間に優秀な選手がどんどん競技をあきらめていく。

新型コロナ禍は、「わかさ生活」にとっても「撤退の言い訳」にはふさわしいと思うのだが。
ここまできてしまえば創業者は功績よりも害悪の方が大きくなっている。他社の出資、参入を認める気がないのなら、女子野球の将来のためにも、女子プロ野球はいったん解散すべきだろうと思う。


女子プロ野球存続へ、必要なのは「わかさファースト」から脱却する覚悟



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