日曜朝の例の番組で、張本勲がおかしなことを言ったのに対しSNSで「朝鮮へ帰れよ」とコメントした人がいる。世話になった編集者だったが、即座に友達をやめた。
張本勲は広島生まれだ。両親は慶尚南道の出身で、母は張本勲を腹に宿して日本に渡ってきたが、彼自身は朝鮮半島に居住したことはない。そのまま80年も経過しているので、同居が可能な親族もほとんどいないはずだ。
彼は後年、KBOの設立に尽力しているから、韓国との交流はあるだろう。国籍は韓国籍ではあるが、彼は日本生まれであり生活の基盤は日本にある。本人が希望しない限り、彼を朝鮮に移住させることはできない。外国籍の人間が居住することは世界中で認められていることであり、納税もしているし非難される筋合いは全くない。

この手の言辞を弄する人間は、気に入らない人間に対して「俺の目の前から消えろ」と言っているわけだ。歴史的な背景を知らず、境遇が異なるものに対する惻隠の情も想像力もない、典型的なレイシズムと言えよう。

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現実問題として、在日二世、三世と朝鮮半島に住む韓国人、朝鮮人は「別の民族」と言ってよい。生活習慣も、言語も異なっている。
昔、夏の甲子園が終わると大阪府の在日韓国人の高校球児は「大阪代表」チームを組んで、韓国の高校野球に参戦したが、現地では「韓国語がしゃべれない」ことを非難されたという。また「大阪代表」は圧倒的に強かったが、審判が判定を捻じ曲げるなどして優勝することはなかった。

在日は、韓国でも差別の対象だったのだ。海峡を挟んで韓国にも、同胞が日本で生活した日々に思いを致さない愚かな人間がたくさんいるのだ。

「住めば都」というが「住まなければ異国」になっていくのだ。そして「住めば都」は時間とともに「母国」になっていくのだ。

NIKEのCMは、父祖の地とは異なる国に生まれてその国を「母国」として生きる若者が受けている不条理な差別をテーマにしている。
CMを作った意図が「スポーツ用品をたくさん売りたい」であったとしても、人々がどこに居住しても平和に生活するうえで絶対に許すことができない「差別」について正面からとらえたという点で、高く評価できる。

張本勲は私は大嫌いだが、彼が日本で居住、生活する権利は全力で擁護する立場でいたいと思う。


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