セ・リーグ球団があわただしく選手獲得に動いて、パ・リーグ球団が静観していることについて、いろんな考え方ができるだろうが、私は「補強」以前の問題だと思っている。
今回の新型コロナ禍で、12球団はそれぞれ100億円~数十億円の損失に陥ったと言われる。球団の売り上げ規模は200億円~400億円程度だから、独立採算のチームであれば債務超過、経営の危機だろう。
事実、Jリーグは56クラブの4割が債務超過、Bリーグも3割が債務超過に陥っている。

Jリーグは今年に入って、国税庁に、NPB同様親会社の損失補填を「広告宣伝費扱い」にできることを確認している。クラブ存続のために親会社の損失補填がやりやすくなるように、先に手を打っていたわけだ。

12球団の内、広島を除く12球団が親会社がある。数十億円単位の損失補填は前代未聞だが、体力のある親会社は問題ないだろう。ソフトバンクあたりはかすり傷とも思っていない。

しかし新聞社系の経営状態は深刻だ。朝日新聞が92.9億円の赤字だと報じられたが、ビジネスモデルで大差ない読売新聞も厳しいだろう。中日新聞に至っては、経営危機に瀕している可能性がある。

企業の子会社であるプロ野球チームが、この危難の時期に行うべきは、自らの経営体質の見直しだろう。職員のリストラや経費の削減、そして選手年俸の引き締めなどは当然行うべきだ。さらに言えば、今までのぜいたくな球団運営を見直す契機にすべきだろう。

その優先順位からすれば、選手の獲得はずっと後でもよいはずだ。アメリカの感染拡大によって、MLBの来期は全く予想が立たない。慌てなくても、外国人選手はたくさんあぶれるはずだ。焦って獲得する必要はない。

今、最優先で球団が行うべきは選手の補強ではない。経営体質の強化、スポンサーの獲得などの営業、さらには来季前半も続くであろう観客動員数の制限や、応援の抑制に対応した集客策だろう。

予言するわけではないが、今オフは「残り物に福」があると思う。外国人選手の大物が、開幕前になってFA状態である可能性が高い。安価で獲得できる可能性も高い。
前から言っている通り、パ・リーグは「今のビジネススタイルの会社」が多い。「経営ー営業ー投資」という手順で来季の構想を行っていると思う。
会社の窮状にお構いなしで「補強=投資」に走るセ・リーグとの差はますます開くと思うが、いかがか?

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