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大坂なおみの姉が「ナイキCM」に言及「日本には差別がないと思っている人たちへ」

大坂なおみを主役にした少女漫画を、彼女の姉の大坂まりが描くという。

彼女は例のNIKEのCMにも言及したという。

まりは、そうした反発の声を、一部の日本人の本心が発露した結果だと見ている。というのも、この夏、人種差別に抗議する声を上げた大坂を「トラブルメーカー」扱いする日本人は、差別は存在しないと思っているからだと、まりは言う。
「目の前で問題を見せない限り、彼らはそこに問題が存在することを信じません。彼らは、問題がないところに、なおみが問題を持ち込んだと考えているのです」


最近では、巷の小中高校に、肌の色が違う子供が日本の制服を着て通うのを普通に見かけるようになった。うちの子供は大阪市内の小学校に通ったが、同級生にフィリピン人の母親を持つ子供などがいた。髪の毛や肌の色が違う子供やその親と普通に交流していた。

そうした親の中に、「あれ黒人?」「どこの国の人?」などと聞く人がいたのだ。そういう言葉を発する人に悪気はない。単なる好奇心だというかもしれないが、そうした好奇心が差別の第一歩であることに、デリカシーが必要なイシューだということに、気が付かない人は気が付かない。
そういう言葉は「あいつは俺たちとは違う」「あいつは日本人じゃない」という「違和感」からきている。その違和感は、「日本人は単一民族だ」「昔から日本に住んで、日本で生まれ育った人だけが日本人だ」という岩盤のような認識からきている。

昭和の球場では「おいくろんぼ!」みたいな今なら周囲が凍り付くようなヤジも普通だった。しかし国際化とともに、それがレイシズムであり、人権を損なう間違った認識であることが日本でも認知されてきた。昔とは人種や人権に対するスタンダードが変化しているのだ。

NIKEのCMは、スタンダードが変化しているにもかかわらず、それに気が付かず、あるいはそのスタンダードに反感を抱いている「日本人の底意」を鋭く突いている。
「アメリカに比べりゃマシ」「日本には深刻な差別はない」「このCMは、日本のイメージを悪くする」などという人は、自分たちが「小さな差別」をあちらこちらでまき散らしていることに気が付いていない。
昔はOKな「言葉」「認識」でも、今はNGになっていることがたくさんあるのだ。
なぜNGかと言えば、それがレイシズムにつながりかねないからだ。日本人は臆病で、一人では乱暴なことをする人は少ないが、小さな差別意識が集まればずいぶんひどいことをするのは、明治開国以来何度も見られたことだ。今も在特会などの組織がそれをやっている。

今のプロ野球には外国にルーツを持つ選手がたくさんいる。しかし彼らは日本社会に生きる人々であって、ずっと昔から日本に居住する人々と何ら変わりはない。

微妙な問題ではあるが「彼は黒人?」「ハーフ?」「どこの国の人?」と声高に言う人は、まともではない。差別の根っこを持っているということだけは言えそうだ。
NIKEのCMで日本人が騒ぐのは、他の国の人々と同様、日本人の心の底にある「差別感情」という琴線に触れるからだろう。このCMを批判する人々は、自分の胸に手を当ててみるべきだ。

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