大野雄大について、私がうるさく言うのは「投手の肩肘は消耗品の上に、すぐ壊れる」という定説があるからだ。
大野はすでに2010年に左肩、2016年には左ひじを痛めている。どちらも重症ではなかったが、それでもじん帯は累積するものも含めれば、相当損傷しているはずだ。そんな中で完封を6回もするのはリスクがある。
投手の肩、ひじの故障のリスクは
1.投球数
2.投球強度
3.球種
4.登板間隔
5.投球フォーム
によって、決まる。
実は骨端線が閉じる前の日本でいう中学生までは、エビデンスが曲がりなりにもある。MLBでは20年にわたる広範な調査に基づいて「ピッチスマート」という投球数、登板間隔のルールが導入されている。
日本でも中学生までは、あるていど投球制限をすることが普及している。
しかし高校より上では、投球制限に関する定説はない。高校野球は今年から7日で500球という制限ができたが、これはプロ野球よりはるかに多い球数なので、ほとんど規制の意味はないと思われる。
プロ野球はどうなのか?
MLBでは中4~5日で100球以内が定説になっている。田中将大のような30歳過ぎのベテランは100球まで投げるほうが少ない。少なければ少ないほどリスクが下がるという見方のようだ。
NPBは中6日だが、千賀滉大のように140球も投げる投手もいるが、先発投手の平均は90球台である。
大野は20試合で2207球だから平均110.35球。阪神の西勇輝は21試合で2241球だから平均106.71球だ。
大野の投球効率は抜群に良いが、それでも110球平均は心配だ。
特に完封となれば、疲労が蓄積した試合終盤に投球強度の強い投球をすることになる。疲労によってフォームも崩れがちになるから、リスクは非常に高い。
故障には、瞬間に「故障した」ことがわかるものと、じわじわと影響が出てその後のパフォーマンスが低下するものとがある。ベテランは、後者の故障のリスクもある。
中高生の球数制限の導入に熱心な桑田真澄さんは、最近「プロ選手は中6日なら9回完投135球は投げるべき」と言い出した。その真意を聞きたいと思っていた。先週、整形外科学会の総会で桑田さんと話をする機会があった。30分近く話したのだが、中高生の肩肘の話に終始して、プロの話を聞くことができなかった。聞いておくべきだったと思うが、メールで聞いてみたいと思う。
一般論として、大野が完封するのと7回で降板するのでは、リスクが異なるのは間違いないところだ。
精神的にどうのというのは、日本人は大好きだが、私は全く問題視しない。太平洋戦争では、そういう理屈をこねまわして負けたわけだ。無責任だしナンセンスだ。
「投げたかった」「燃え尽きたかった」などという精神論は、この議論には何の役にも立たない。
2020年のセ・リーグ投手陣 リリーフ詳細版
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しかし高校より上では、投球制限に関する定説はない。高校野球は今年から7日で500球という制限ができたが、これはプロ野球よりはるかに多い球数なので、ほとんど規制の意味はないと思われる。
プロ野球はどうなのか?
MLBでは中4~5日で100球以内が定説になっている。田中将大のような30歳過ぎのベテランは100球まで投げるほうが少ない。少なければ少ないほどリスクが下がるという見方のようだ。
NPBは中6日だが、千賀滉大のように140球も投げる投手もいるが、先発投手の平均は90球台である。
大野は20試合で2207球だから平均110.35球。阪神の西勇輝は21試合で2241球だから平均106.71球だ。
大野の投球効率は抜群に良いが、それでも110球平均は心配だ。
特に完封となれば、疲労が蓄積した試合終盤に投球強度の強い投球をすることになる。疲労によってフォームも崩れがちになるから、リスクは非常に高い。
故障には、瞬間に「故障した」ことがわかるものと、じわじわと影響が出てその後のパフォーマンスが低下するものとがある。ベテランは、後者の故障のリスクもある。
中高生の球数制限の導入に熱心な桑田真澄さんは、最近「プロ選手は中6日なら9回完投135球は投げるべき」と言い出した。その真意を聞きたいと思っていた。先週、整形外科学会の総会で桑田さんと話をする機会があった。30分近く話したのだが、中高生の肩肘の話に終始して、プロの話を聞くことができなかった。聞いておくべきだったと思うが、メールで聞いてみたいと思う。
一般論として、大野が完封するのと7回で降板するのでは、リスクが異なるのは間違いないところだ。
精神的にどうのというのは、日本人は大好きだが、私は全く問題視しない。太平洋戦争では、そういう理屈をこねまわして負けたわけだ。無責任だしナンセンスだ。
「投げたかった」「燃え尽きたかった」などという精神論は、この議論には何の役にも立たない。
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