「別に優勝にもからんでいないのに、なんで大野や福、祖父江を酷使してんだ」
知り合いの編集者の感想だが、そういう中日ファンもいるのである。

チームのやることなら何でもかんでも大賛成という「贔屓の引き倒し」は、いいファンなのかどうか。

2020年の大野雄大の投球についてみていこう。2020年両リーグの規定投球回数以上の投手のPAP

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PAP(Pitch Abuse Point)は、投球数-100の3乗で導き出される。累積で20万を超すと赤信号、いつ壊れてもおかしくない。10万を超すと黄信号である。

NPBで一番PAPが大きかったのは千賀滉大、続いて九里亜蓮、さらに森下暢仁の順だ。大野は95563で5番目。ぎりぎり信号が点灯していない数値だ。

だからセーフだというのは、表面的な見方である。今季は120試合。例年通り143試合制であれば、当然10万を超している。32歳という年齢を考えれば、黄信号ゾーンに入っていると考えるべきだろう。

2019年のMLBのPAP10傑 BaseballProspectusから

PAP-MLB


162試合制にもかかわらず黄信号の10万を超えているのはトレバー・バウアーだけ。3000球をはるかに超える球数を投げる投手の大部分のPAPは10万より遥かに下である。

NPBでは2000球そこそこしか投げていないのに10万、20万のPAPになる。日本人投手が3000球を投げると次の年には成績が下落するのは、PAPが高く過ぎるからだ。

登板間隔がどうのという話もあるが、MLBは中4日で100球、NPBは中6日だから120球でもOKという声もあるが、だったら毎年3000球を超す投手がもっと出てきてよさそうなものだ。

大野については、球数で見る限り、リーグの「中の上」程度ではあった。しかし今年の大野は「いらざる頑張り」をして、リスクを高めた。

これは稿を改めて説明する。

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2020年のセ・リーグ投手陣 リリーフ詳細版

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