では、大野雄大の2020年の投球のどの部分が問題があったのか?

具体的に、大野雄大の2020年の全投球を見ながら考えよう

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ベージュ地は完投である。
「上」を見ていただければわかるように、パ・リーグの投手は日本ハムの有原航平の3完投が最多で、他の投手は1完投だけだ。完投はよほど調子が良くて、球数が少ない時にするだけで、常時狙うことはない。救援投手に引き継ぐのが通例だ。

しかしセ・リーグは大野の10完投を筆頭に、西が4完投、菅野が3完投とまだ完投にこだわりを見せる投手がいる。
大野の10完投を子細に見ると、3点差が5試合、5点差が1試合、6点差が1試合、9点差が1試合ある。
3点はセーブシチュエーションだが、5点以上はセーフティリードだ。福や祖父江を出さなくてもいい状況のはずだ。

ここまで差があって、エースが続投したのは明らかに「完投、完封」狙いだったと言えるだろう。
巨人の菅野と沢村賞争いで激しく競り合う中で「完投、完封」という重要な指標の数値を上げるために投げたということになる。

沢村賞の「完投、完封」という指標は、昭和の時代の基準であり、今やNPB球団のほとんどは、これを重要視していないが、大野はこの賞のためだけに「無理をした」と言えるだろう。

私はセーフティリードがある状況では大野は完投しなくてよかったと思う。それから最終的に120球を超えた3試合も投げない方が良かったと思う。
120球のPAPは8000、110球ではPAPは1000である。リスクは大きく異なるのだ。

ちなみに「100球」という数字の根拠だが、私も「腰だめの数字」だと思っていたのだが、最近の研究では「同じ動作を数多く繰り返すと、動作精度が落ちる=フォームが崩れる。その目安となる数字が100回」だということが明らかになっている。つまり、フォームが崩れることで故障のリスクが高まるのだ。さらに完投しようと投球強度を上げることも、故障のリスクを高める。

120球以上の完投の3試合を110球で降り、5点差以上の3試合を100球で降りれば、PAPは95563から42555とセーフティゾーンになる。

腹八分目かもしれないが6、7回で降りることで、故障せずに長く投げることができるのは、根拠があるのだ。

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2020年のセ・リーグ投手陣 リリーフ詳細版

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