私立藤嶺藤沢高校の硬式野球部の監督が素手でノックを受けさせた件がおおごとになっている。
学校は昨年10月10日付で監督を戒告処分とし、日本学生野球協会は同12月、部員への不適切指導で3カ月の謹慎処分としている。また藤沢署は6日までに、傷害容疑で47歳の男性監督を書類送検した。

昭和の昔は、選手に素手でノックを受けさせる練習は普通に行われていた。打球への恐怖心を克服するため、そしてグラブに頼らず、手の感覚で打球を捕球するためだ。
プロ野球の試合で、一塁線、三塁線に転がったゴロをコーチが素手で捕るのはある種の名物だったが、それもこうした練習の賜物だろう。
MLBではそういう選手を危険にさらすような練習はしないので、コーチがそういうパフォーマンスをすることはない。日米野球でMLBのベンチは、よく驚いていたのを思い出す。

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恐らく、今でも旧弊な指導者は素手でのゴロ捕りをやっていると思う。普通は緩い球を転がして捕球させるが、中には強いゴロを打っているチームもあるだろう。

日本の野球は「恐怖心を克服させる」ことが大事だと考えていた。怪我を恐れずにゴロに突っ込んでいく、死球を恐れずに内角球に向かっていく。恐怖を克服することで、チームに貢献できるとした。昔はあまり打てない打者に「当たっていけ」という指導者さえいた。恐らくこれは「死を恐れない兵隊さんを作る」ことを目的にした「軍国主義」の残滓であろう。

当然のことだが、これはスポーツとしては間違っている。スポーツは生命、身体の安全が確保されるのが前提であり、指導者は選手を危険から守るのが、一番重要な義務だ。

多くの日本の指導者は、今回の事件に驚きを禁じ得ないのではないか。この練習がだめだと言うのなら、自分たちが考えるハードな練習はできない。そう思う指導者は多いだろう。

藤川球児が、この事件に反応し、「この行いが正解か不正解かも分からないのか…」とtweet、さらに「若い時までの経験では学生の指導は出来ないと思う。僕達も永遠に学びながら自分を成長させる。年齢に関わらず相手への尊敬を持って人に接すれば絶対こんな事は起こらない!」と述べた。これは驚きである。

藤川は高知商の出身だ。私は当時の指導者を何人か知っているが、投球数には気を使っていたものの、旧弊な指導者が多かったからだ。

藤川が「選手に対する指導者のリスペクト」という極めて健全な意識を持つに至った経緯はわからないが、恐らくMLBでの経験が大きかったのではないか。

藤川の発言で、私立藤嶺藤沢高校には非難の声が集まるだろう。またその指導者は、学校を追われる可能性がある。
私は藤川の発言を機に、まだ日本野球にはびこっているおかしな指導が払しょくされることを期待したい。



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