このテーマで過去に何度も書いているが、大晦日、プロボクシング世界4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔が、田中恒成戦で左腕などに入れた刺青が映像に写ったことが問題になっている。
報知
JBCの規定では「入れ墨など観客に不快の念を与える風体の者」は試合に出場できないと定められている。井岡は試合前、ファンデーションで隠す措置を施したが、汗などで薄れてしまったとみられる。JBCの安河内剛事務局長は「ルールがある以上は処分を議論する対象になる」と説明した。

これに対し賛否両論が起こっている。
新庄剛志は
「井岡君のタトゥ-がルール違反⁉️熱い戦いをしてる時、ファンが感動して観てる時にタトゥの事が気になりますか? しかも試合後に⁇ タトゥ-には興味はないけど、なんだこの日本の古臭い考え〜 考え方をアップデートして行こうぜ」
と刺青を擁護し
武井壮は
「オレは基本まず事前にあるルールは守るべき派 異論があるならルールを変えてからタトゥー入れるべきやなと思う」
と批判した。

井岡はルールをあえて冒して刺青をしたまま試合をしたわけではない。隠す措置が甘くて刺青が見えてしまったということだ。ただし井岡は左腕と体側に墨彫りでかなり大きな刺青をしている。これを完全に隠すのは難しいだろう。

井岡自身は海外メディアに「刺青ルールを崩したい」と語ったとされるが、語らなかったとも言われる。また同様に刺青を入れているアスリートからは「くだらないルールだ」という声も上がっている。

この問題は非常に根深い。日本では外国人のタトゥーには寛容だが、日本人の刺青には極めて不寛容だ。

それは、日本の刺青が長年「やくざ」「反社会勢力」の象徴だったからだ。やくざは堅気を脅すために刺青を見せつけてきたし、仲間の結束を強化するために新参者に刺青を強要してきた。

「やくざ」そのものは警察の厳しい取り締まりもあって勢力は減退し変容しているが、刺青が「反社会のサイン」という現状は全く変わっていない。

さらに伝統的な暴力団の周縁にハングレ、反社という新たな反社会勢力ができて社会に浸潤している。彼らの多くも刺青をしている。「刺青は反社」という固定概念は、いささかも薄れていない。また大阪、石垣島で悪事を続ける反社の首魁が、格闘技出身だったように、最近の反社は格闘技やエンタメなどの業界ともつながっている。
刺青はスポーツと反社をつなぐブリッジのようにも見えている。

一方で、海外の影響からタトゥーをファッションで入れる人も増えている。

IMG_9502


問題なのは「その区別がほとんどつかない」ということだ。清原和博のように龍の刺青を全身に入れれば「これはヤクザの同類だ」とわかるが、今の反社は流行のタトゥーを入れることが多い。

現時点で日本人の刺青は「反社かどうかわからないが、反社と親和性がありそうな人々」というシグナルになっている。
そして刺青は、成人してから自己責任でいれるものであり、少なくとも子供に勧められるものではないとされる。子供も見るスポーツで「刺青をした日本人」を見せるのは悪影響がある可能性がある。

そうである限りは、スポーツの舞台で、日本人が刺青をさらすことは認められない。
外国人の刺青が許容されるのは「反社のサインとは判断できない」からだ。外国人は割と気楽に刺青を入れる。明治時代、ロシアの皇太子が日本土産で刺青を入れたように、裏社会と関係なくても、ファッションとしてタトゥーを入れる人が圧倒的に多い。沖縄に行けば基地周辺に「Tatoo House」がたくさん並んでいる。従軍の記念にタトゥーを入れる習慣なのだ。
マフィアにもタトゥーを入れる人は多いだろうが、少なくとも「反社特有の習慣」とは言い切れない。

スポーツ選手は「タトゥーを入れる自由を」と訴えるのは勝手だが、それが「反社のサインではない」と証明するのは、事実上不可能だ。そうである限りは、刺青をあきらめるか、せめて見えないようにする配慮は必要だ。

「スポーツを取るか、タトゥーを取るか」でタトゥーを取るアスリートがいるとすれば、それはどうしようもない話である。


2020年石山泰稚、全登板成績【ホールド相当の引き分けが8つ】

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!