井岡一翔の刺青の件ではいろんなご意見をいただき感謝する。この問題の根源は「反社会勢力をどうみなすか」という問題に行き着く。

スポーツは「興行」の一部門であり、常に興行師とのつながりがあった。興行師は「会場」「動員」「周辺での物販」「警備」など様々なビジネスを取り仕切ったが、昔はその多くは堅気ではなかった。
ヤクザは「博徒」のことであり、興行師=香具師、的屋とは厳密には違うカテゴリーだったが、ともに「コミュニティ外の人々」「裏社会の人々」であり、親和性は極めて強かった。

興行師の上に載っていたスポーツ選手は、興行師を通じて裏社会とつながっていた。夜の街では選手の谷町の多くは裏社会だったし、麻雀やゴルフの相手も裏社会だった。選手の賭けのレートは高すぎて、一般人では相手にならなかったのだ。
そういう関係がついこの間まで続いた。ただしスポーツ選手は裏社会とつながっていたが、裏の人間ではなかった。その間のけじめはしっかりしていた。一時期の江夏豊や清原和博のように、完全に同化する例はそれほど多くなかった。
だからどれだけ裏社会の人間と親しくても、日本のスポーツ選手が刺青を入れることはほとんどなかったのだ。

裏社会は警察権力ともうまく付き合ってきたが、近年その関係が一変し、暴対法が改正され警察は暴力団を壊滅に追い込もうと強力な手を打つようになっている。これによって暴力団の正規構成員は激減、暴力団も衰退したが、その本体は形を変えて「企業舎弟」「フロント」と呼ばれる一般企業の形をとるようになった。
また暴力団には属さない「反社会勢力」が台頭。中国など外国のマフィアともつながって強大化している。彼らのビジネスは多岐にわたるが「オレオレ詐欺」なども重要な財源になっている。
昔のヤクザと今の反社会勢力は異なる部分も多いが、構成員に組織への忠誠心を求める点はよく似ている。そして忠誠のあかしとして「刺青」「タトゥー」を入れることが多いのも共通している。

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現代のスポーツ界には、旧来の暴力団に代わって「反社会勢力」がアプローチするようになった。大相撲の部屋は親方の独立が相次いだが、その「谷町」にフロント企業が就くことも散見された。
またプロ野球選手にも、反社の匂いのするビジネスマンが遊び相手として近寄ることも多くなった。

とりわけ格闘技の世界は、反社会勢力との親和性が高い。井岡一翔が再起に際して「刺青(タトゥー)」を入れたのは、単なるファッションとは言い切れないだろう。「かっこいい」ではなく「男気」とか「勝負したる」とか反社会勢力のメンタルに近い動機でタトゥーを入れたという見方もできなくはない。

暴力団の影が薄くなった分、スポーツと反社は、近年、距離が近くなっている。反社の文化がスポーツに浸潤する危険性が高まっている。
そういう意味でも、井岡一翔のタトゥーの問題は「たかがファッション」とは言えないと思う。


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