コメント欄で非常に有意義な意見交換ができている。誠に喜ばしい。もう少し考えてみたい。
ダルビッシュ有が「中4日は絶対に短い。球数はほとんど関係ないです。120球、140球を投げても中6日あればじん帯の炎症も全部クリーンにとれる」と言ったのは2014年春先のことだ。ダルビッシュはこの年の8月にひじの故障で戦線離脱、翌年にはトミー・ジョン手術を受けた。
ダルビッシュの故障が高校時代、NPB時代の酷使によるものか、MLBに来てからのものなのかはよくわかっていない。

135球を投げても中6日を空ければ、靭帯や筋肉の炎症は消えるのか。この検証はできていない。筋肉は毛細管の断裂も起こる。この復活に関しても検証が必要だ。
仮に、6日間で靭帯、筋肉が元の状態に復帰するのであれば「中6日135球」は可能なように思えるかもしれないが、野球選手の肩肘は「目に見える障害」だけではなく、目に見えないものもある。

ある甲子園ドクターに話を聞いたときに「外科的に問題がない肩肘であっても、酷使によってその後のパフォーマンスの低下を招く可能性がある」と聞いたことがある。

つまり、中6日あれば普通に投げることができる状態まで復帰することができる可能性はあるが、それはトップクラスの投手の超ハイレベルな投球強度まで大丈夫だ、と言い切れるものではないのだ。

中4日、100球で投げるMLBでも投手のトミー・ジョン手術(TJS)は普通に行われている。アメリカでは「靭帯損傷が見つかればTJS」というのが常識化しているからでもある。

もう一つ、肩肘の問題は、個人差が極めて大きい。投手の中にはRAディッキーのように先天的に肘のじん帯がない選手までいるのだ。荻野忠寛は「じん帯を使わずに投げる方法がある」とも語っている。じん帯の周囲の筋肉を使って投げる方法だ。私は目の前で見たが、いい球が行っていた。
また投球フォームによって肩肘が受ける影響も異なってくる。肩肘と投球の関係は極めて複雑なのだ。

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中4日100球、PAPなどのMLBの指標は、複雑で多様な「野球と肩肘の関係」を俯瞰して経験則で決められた「腰だめの数字」なのだ。

桑田真澄の「中6日完投135球」はそれに代わる指標になりえるだろうか?


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