昨日の田中将大の記者会見は、衒いのない好感の持てるものだった。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMのコメントと合わせて読むと今回の事態がよく理解できる。
まず、ヤンキースにとって田中との契約継続は、あまり優先順位が高いとは言えなかったということ。

オフになってすぐに連絡はあったものの、具体的な交渉には至らなかった。ヤンキースにとって田中は計算ができる駒ではあるが、優勝のためにどうしても必要なピースとは言えない。1年2200万ドルという金額は今となっては非現実的ではある。今年は1890万ドルだったクオリファイング・オファーも出さなかった。それがすべてを物語っている。
FA戦線で売れ残っていたら、1000万ドル程度で契約する意図はあったかもしれないが、いろいろ選手を獲得するうちにぜいたく税の上限まで近づいたので、田中に再度声をかけることはしなかったということだ。

田中自身もそのことは理解していただろうが、代理人としてはできるだけ高くで契約したい。
しかし、田中自身はヤンキース以外での契約はあまり乗り気ではなかった。なによりアメリカは世界最悪のパンデミックの最中であり、そんな中で慣れない街を本拠にするのは家族を持つ身としては不安だ。そもそもMLBがまともに開幕するかどうかも不確かだ。

そんな中で楽天はかなり早くから田中に声をかけていたようだ。決心したのは先週に入ってからのようだが、1月に入ってから心が傾いていたのだろう。
9億円という年俸は「推定」であって、じっさいは1000万ドルを軽く超えていたのではないか。イニエスタに3000万ドルを払う楽天にとっては大きな問題ではなかっただろう。

2年契約は楽天のオファーかもしれない。ただオプトアウト条項が入っている可能性もあろう。田中にとっては東京五輪が開催されるようなら出場したい。来季に延期になれば、その可能性も出てくる。
そういう思惑もあったのではないか。

「震災10年だから戻ってきた」はサービストークだろうが、そういう話を落ち着いてできる「大人」になったなという感じだ。

明日から春季キャンプに行く。楽天にも取材申請しているが、田中の合流は2月下旬になるだろう。オープン戦でぜひ見てみたい。


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