桑田コーチよ、練習なくして人は育たない。今の時代はこうだから、という指導は間違いだ/廣岡達朗コラム
2月9日に89歳になるこのお年寄りのコメントが、たびたびメディアに出るのは、頭脳が衰えておらず、お元気だからだろう。また、こうしたコメントを喜ぶ層が少なからずいるからだろう。

しかしながら、廣岡達朗を解説者、論客とみなすのはかなり厳しい。話を聞いたことがある編集者によれば、この人はもう外出が厳しくなっているようだ。今のコメントも、出て来てもらって話を聞くのではなく、電話での取材になっていると思われる。
例えば巨人キャンプに出て行って、桑田と話をしたり、練習風景を見るようなことはできないだろう。2012年の中日キャンプで内野手を指導した動画がネット上にあるが、この辺りが最後ではないか。今は新聞やテレビで見聞きしたことについて、感想を述べているのだとは思うが、プロ野球の現場との縁はもう切れてしまっているのではないか。

廣岡のコメントは、端的に言えば「(自分がいない)今のプロ野球の現場がとにかく気に入らない」。自分が知らないこと、やったことがないことをやっていることが気に入らない。それだけでなく自分と同じことをやっていると「あれは昔俺がやっていた」と言いたい。で、最終的には「俺に任せておけばいいものを」ということになる。

桑田の発言で言えば、投げ込みをすることはOKだが、短時間で合理的な練習をすることが気に入らない。長時間練習の弊害は、スポーツ界では常識になっているが、
これが私には理解できない。練習せずして人は育たない。大切なのは、やるべきことを死ぬまで続ければモノになるという信念だ。いまの時代はこうだから、という指導は間違っている
その上で、広岡は中村天風を引っ張り出してくるのだ。明治7年生まれで昭和43年に死んだこの怪しい人物は、東郷平八郎をはじめ海軍軍人に信奉者がたくさんいた。廣岡は本まで表すほど心酔している。晩年、細木数子に篭絡された安岡正篤と並び政財界に多くの信者を持つ「導師」ではあるが、この名前が出てくる時点で「このおじいさんは今どきのことは何の勉強もしていない」ことがわかる。完全に時代錯誤だ。

廣岡は、1998年にロッテのGMをやめてから野球界とは縁が切れている。まだ67歳だったから何かしたくて仕方がなかった。しかし能力はともかく、周囲とトラブルを起こしがちな性狷介が敬遠されて声がかからなかった。だんだんに嫉妬心が凝り固まって、黒煙を上げるようになったということだろう。

自分と違うことをやっていても、自分がやっていたことをやっていても気に入らない。まさに御しがたい。野球の現場は聞き流す以外に対応策はないだろう。

hiro


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