年寄の顔を次々潰しながら沈没しつつある東京五輪ではある。これも一つの醜聞ではあろう。森喜朗が後継指名した川淵三郎に、政府、組織委員会が待ったをかけたのだ。
森喜朗は政治家の後継指名のように川淵三郎に依頼をしたが、その手続き自身が「老害」的なイメージがあるとみなされたのだろう。
もともとそういう組織だと思っていたので、私などは「何をいまさら」を思うが、世論を非常に気にしたのだろう。

もう一つ言えば、川淵三郎が、政府の「身内」ではないこと。政府や組織委員会の意をくんで、その通り動くような人ではない。「壊し屋」の本領を発揮して組織委員会や政府に楯突きはじめてはたまらないということだろう。

昨日も書いたが、東京五輪は、おそらくは組織委員会の面々であっても「開催は半ば無理」と思っている。日本では、5か月前でワクチン接種がまだ始まっていないのだ。またワクチン接種が進んでいる国でも、目に見えて収束に向かっている国はない。アメリカにしたところで、感染の山は越したにしても半年後に選手団を送り込むなどということは、現実的ではない。
IOCは放映権を考えれば「無観客でもOK」という気があるので「開催しろ」と言っているが、どう考えても厳しい。しかも国民は、JOCや政府の度重なる醜聞や不手際にあきれ返っている。
端的に言えば「いつ手のひら返しをするか」のタイミングが大事になってくるのだ。

政府、組織委員会としては自分たちがダメージを受けることなく「撤退」を完了したいが、実際にはそれはほとんど不可能だ。

となれば、できるだけ好感度が高くて。人当たりが良くて、なんとなく国民を丸め込めるような人をトップにする方がいい。「怖い子泣き爺」みたいな川淵三郎出ないほうがいい、という感じだろうか。

昨日記者団に囲まれて川淵三郎は「こうなったのはすべて僕の責任」と言ったが、わなわな震えているように見えた。昨日、やる気満々の姿勢を見せた上で梯子を外されたことで、プライドがズタズタになったのだろう。「森喜朗を相談役に」は、サービストークだろうが言わずもがなではあった。
私は1回だけ川淵三郎のインタビューをしたが、その誼で言えば「受けなくてよかった」と思う。この仕事は能力があっても、人徳があっても務まらない。晩節を汚すだけだ。にっちもさっしもいかなくなっている東京五輪を最も残念な形で終わらせなければならないからだ。

「女性を」みたいなあざとい声も聞こえているが、感情論で言うならば、馬鹿な男たちが蒔いた種なんだから、男が処理しろよ、とも言いたくなる。「適材適所」とジェンダーはとりあえず関係ないだろう。

ドタバタ劇は普通、悲劇ではなく喜劇のはずだ。我々としては、おじさんたちが昭和頭からどんな知恵を出して収拾するのか、芝居を見るように見ればいいと思う。

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2020年S.パットン、全登板成績

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