しかし21世紀以降、世界は大きく変化した。未曽有の事態、事件が次々と出来するようになった。

「東西冷戦の時代」から「南北時代」へ。そして中国の台頭、イスラム圏の拡大。
世界の国々は、目の前で起こっていることに真剣に向き合い、知識や技術を集約させてことに当たらなければならなくなった。本当に能力があるもの、知恵と知識があるものが、多くの情報を吸い上げて判断しなければならない時代がやってきた。

21世紀以降、意識決定のプロセスとしての「会議」「ミーティング」の重要性は高まっている。形式的な「メンバーの合意」ではなく、多くの情報を集約して「最適解」をできるだけ早く求めて、行動に移す必要ができてきた。
経営者などトップの仕事は、組織の中核に、知的レベルが高く的確な判断をする人間を配置することになった。年齢や学歴、男女の別、さらには国籍などにも拘泥せず、有能な人材を得ることが最重要の問題になった。
ベンチャー企業が巨大化する過程で一番重要だったのは「使える人間」をピックアップすることだった。

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しかし日本社会は、一向に変化しなかった。相変わらず「夜の街」で物事を決める習慣が続いた。そしてその「決定」は、物事の根本的な解決ではなく、会議メンバー、自分たちの仲間がいかに納得するか、富を身内にいかに公平に分配するか、が重要視されていた。そのために足して二で割るような「妥協の産物」を以後も生み出してきた。
また彼らはあまり学ばないため、インターネットなど情報技術にも昏かった。デジタル担当相が、パソコンを使えないなどぞっとするような状況が続いたのだ。

それでも日本社会は、過去の蓄積の多さでしばらくは世界でのステイタスを維持してきたが「新型コロナウイルス」というかつてない災難が、日本型のシステムを破壊しようとしている。

当たり前の話だが「新型コロナウイルス」は、「忖度」しない。「茶屋酒」も飲まない。ウイルスの意志のままに繁殖を続けている。
であるのに、日本の為政者たちは、これまでと同様の行動をとり続けた。
国会議員をはじめ、日本の政治家たちが、国民に「自粛」を呼び掛けながら、なおも「茶屋酒」を飲み続けたのは、最大限善意に解釈すれば、彼らなりの「やり方」で、事態の解決を図ろうとしたのだろう。その愚かさに憐憫の情さえ抱くが、日本の為政者はここまで劣化したのだ。

台湾も儒教がベースの国であり、長幼の序を重んじ、男尊女卑が定着したアジアの国だったが、21世紀に入って大きく変わった。
宗主国であった中華人民共和国が、権威主義国家として台湾の併合を望むようになり、台湾は国家防衛を真剣に考えざるを得なくなったのだ。香港のように蹂躙されたり、韓国のように中国の経済圏に取り込まれることなく、自立した国として存続するために、台湾全体が「ベンチャー化」した。
台湾国民が女性の蔡英文総統をトップに選んだのは、この国が変貌しようとしていることの象徴だった。
蔡英文総統は、台湾の経済振興を進めるとともに、危機管理の体制も整備した。そして2016年に無任所相(デジタル担当)に当時35歳の唐鳳(オードリー・タン)を起用した。
5年後に起こった新型コロナウイルス禍で、唐鳳はマスクの配布システムや感染症に関する政策を次々と打ち出し、世界でもまれな「ウイルスの封じ込め」に多大な貢献をした。彼のポリシーは「Radical Transparency(根本的な透明性)」であるという。

今の日本にも唐鳳のような人材はいると思うが、日本の為政者が彼を起用することは絶対にできないだろう。
彼はまだ40手前であり、ヲタクであり、性的マイノリティであると表明している。政治家が「茶屋酒」で懐柔することはかなわない人物だ。
彼を閣僚にすれば、忖度で仕事をする官僚たちは大混乱するだろうし、USBをパソコンにさすことさえできない政治家たちは、激しい無能を露呈するだろう。
そして為政者たちが「会議」と称していた「儀式」「手続き」は崩壊してしまうだろう。
絶望的に思うのは、日本が経済、技術支援してきた台湾が、いつの間にか日本をはるかに上回る政治経済体制を生み出したことだ。台湾の成長を見るにつけ、日本は本当に駄目になったと思う。

こうして考えてくると、森喜朗の
「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないと(会議が)なかなか終わらないので困る」
という発言が、いかに深刻な問題をはらんでいるかが見えてくる。

東京オリンピックについては、今後も醜態をさらしながら決着を迎えると思うが、愚かな男たちがなおも権力を掌握している限りは、日本は経済的、政治的な転落を続け、いずれ中華人民共和国の支配下にはいるだろう。「忖度文化」は、中国でも盛んだから、ある種の人間は三等国となった日本、中国支配下の日本でも栄達するのではないか。

人類は「男と女、そしてマイノリティ」という人たちで成り立っている。叡智は男だけが持っているわけではない。
男社会が本当に駄目になったのだから、今まで排除してきた「別の性」の人々を、意思決定に参加させないと、日本は滅びの道を歩むだろう。


2020年S.パットン、全登板成績

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