観客席で野球を観ることの楽しさの一つに、いろいろな観戦スタイルのお客を観察することがある。

昨日の春の甲子園、私の隣には、夫婦連れ。関東の言葉遣い。「甲子園で高校野球を観る」という目的で来ているのだろう。ブラスバンドの生の音楽が聴けなかったのは気の毒だったが、それでもこの球場の美しさは最高だ。

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しばらくしてから私の前に座った小太りの男は、サングラス、赤いベースボールキャップをかぶって顔の下半分にバンダナを巻いている。そのバンダナはすこしほつれている。着ているスタジアムジャンパーも袖のところが、すり減っている。

耳にはラジオのイヤホン。野球中継を聞きながら観戦というスタイルか。私はタイムラグが嫌なので、そういうのはしないが。そうしながら彼は何かモグモグ食べている。

しばらくはおとなしく試合を見ていたが、30分ほどすると持ってきたスポーツ紙を広げ始めた。席の間隔があいているからそういうこともできるのだが、後ろにいる私はやや迷惑。競馬欄を開いて、手元のスマホを見ながら何かを確認している。自分が買った馬券の倍率をチェックしているのか、馬券を買っているのか。
要するに彼はギャンブラーなのだろう。衣服のほつれ、破れの背景が理解できた。

試合は半分も見ない。スマホで何やらゲームみたいなのをしている。そして30分に1回くらい席を立つ。球場でこういうことをする人は、ほぼ間違いなくスモーカーだ。ニコチンの禁断症状が出たのだろう。香ばしい匂いはほとんどしないから、電子タバコではないかと思うが。
ただ帰ってくるときには、大会のパンフレットや甲子園グッズなど、なにがしかの買い物をしている。結構な浪費家だ。

昼時になるといそいそと弁当を買い込んだ。唐揚げ弁当に焼きそば。カロリー満載である。
私が観察しているのを察してか、何度か私の方を振り返ったが、私は目を合わさなかった。

甲子園の観客席は、彼にとっては自分の部屋と大差ないのだろう。高校野球を観ながら競馬に興じ、好きなものを買って、好きなものを食べる。

こういう人生は、いつか帳尻合わせが必要になるかもしれないが、私はちょっとうらやましいと思った次第。

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2018~20年山﨑福也、全登板成績

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