Number Jitan


Number Webに今年のプロ野球が9回打ち切りになったことで「引き分け」や「試合時間の長さ」などについて書いている。
9回打ち切りになったことで、今季は試合数の1割以上の引き分けが予想される。

9回打ち切りは国の新型コロナ対策に協力して、「時短」、午後9時までの試合終了を目的としている。しかし今のプロ野球は9回でも3時間では収まらない。17時45分スタートにしても半分近くの試合は、21時を回ってしまう。
本気で時短をする気なら、スピーディな試合運びに努めるべきだと書いたのだが、Yahoo!やTwitterなどでは「試合が長いのは苦にならない」とか「じっくり作戦を練るのも野球のうち」などの意見が散見される。「時短すれば野球の魅力がなくなる」という人もいる。

こういうファンは「自分と、自分みたいなファン以外はみんな風景」になっている。ファンは「熱狂」ということだから、それでいいということかもしれないが、私に言わせればそういうファンは底の浅い「にわか」だと思う。

野球ファンであれば、「自分が好きな選手やチーム」のことだけでなく、野球という魅力的な競技が、今後も発展するためにはどうすべきかを常に頭の片隅に置いておくべきだと思う。

それに、今のプロ野球やMLBは情報戦が発達したこともあり、どんどん長くなっている。その長くなった部分が全部「面白くなった部分」かというとそうではない。サインのやり取りや、ビデオ判定を待つ時間、攻守交替の時間などを観衆が「待つ時間」が圧倒的に増えたのだ。

1950年代に両リーグとも1時間45分前後だったNPBの試合時間は、1954年にパが、1957年にセが2時間を超え、1967年に両リーグともに2時間30分を超え、1983年には3時間をオーバー、今に至るも3時間15分前後で推移している。

1970年代、投手は「乱数表」をグラブにつけて1球ごとに捕手とやり取りをしていた。試合が長引く原因だとして廃止されたが、平均試合時間は2時間台だったのだ。

野球ファンはじわじわと試合が伸びていくことに鈍感で、3時間10分も当たり前になってしまった。

しかしボールゲームでここまで試合が長い競技はほとんどない。ラグビーは正味80分、サッカーは90分、バレーボールや卓球などは得点先取制なので時間は決まっていないが、バレーは5セットで2時間半、卓球は長くて1時間程度。バドミントンは45分程度。アメフトは正味は48分、インターバルを含めても2時間半ほど。野球より試合時間が長くなるのは、テニスやクリケットくらいだ。

野球を見始めた人が一番うんざりするのが「試合が長い」ということだ。3時間以上も複雑なルールの競技を集中力を途切れさせることなく見続けるのは、苦痛だと思う人も多い。
せめて2時間そこそこ、高校野球程度に短縮するのは、野球離れがどんどん進む今では、急務だと言っても良い。

「野球離れとか、そんなのはどうでもいい。俺たちは今のペースの野球が好きなんだ」
「それが嫌いな奴は来なくていい。素人はいなくていい」

近頃のバカな人は、平気でそういうことを言うが、「試合が長すぎる」という人を馬鹿にするようなファンは野球界の将来を考えれば害悪だと言っていい。

今の高校野球は、地方大会でも甲子園でも高野連の関係者が監督に「試合時間は2時間」を厳命する。だらだらと試合をすれば、審判が口頭で注意する。勝っても9回で2時間半を超えれば、高野連の役員からお説教を食らう。「時短」が徹底しているのだ。

それだから「高校野球がプロ野球よりおもしろくない」ということは全くないだろう。
高校野球は1試合2時間だから、1日4試合でも普通に楽しむことができる。

試合時間が長いのが苦にならないというファンは、感覚がマヒしてしまっているのだ。

短くきびきびとした野球本来のスタイルへの回帰は、今後、絶対に必要になるだろう。

2019年3月21日の東京ドーム、アスレチックス-マリナーズ戦 イチローの引退試合となったこのMLB公式戦は試合終了時に午前0時になっていた。

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2018~20年山﨑福也、全登板成績

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