昨日、ナベツネの「球界再編」のことをブログに書いた。「もし1リーグ制になっていたらどうなっていたか?」という質問をもらった。面白いテーマだと思うので考えてみたい。
構想による1リーグ10球団とは、
巨人、阪神、中日、ヤクルト、広島、横浜、オリックス+近鉄と、西武+ロッテ、日本ハム+ダイエーのいずれかの合併による10球団だとされた。

この球界再編が進んでいれば、17年後の現在、NPBは存在しなかったと思う。

まず、単純に言ってリーグ戦が単調になる。優勝チームが大差で突っ走れば、残る9球団のペナントレースはすべて消化試合になる。またポストシーズンも、韓国や台湾のリーグのようにペナントレースの1位球団に2位以下のチームが再度挑戦する形となり、ペナントレースの価値に疑念が生じる。
今のクライマックス・シリーズもそうした問題が存在するが、1リーグになればさらに矛盾が大きくなる。

ナベツネがこの構想に活路を見出したのは、巨人、阪神の放映権の恩恵が、旧パ・リーグの球団にもいきわたると考えたからだが、プロ野球の放映権モデルは21世紀に入って以降、視聴率が急降下していたために、成立しなくなっていた。プロ野球の地上波での中継は数年で激減したから、1リーグであれ2リーグであれ、このビジネスモデルは崩壊しただろう。

10球団になるということは、フランチャイズも12から10になるということだから、地元を中心にしたファンも減少する。近鉄ファンで合併したオリックスを応援している人がそれほど多くないことを見てもそれは明らかだ。全体として野球ファンのパイは小さくなっただろう。

もう一つ、大きいのは1リーグ10球団体制であれば、ソフトバンクはホークス買収に動かなかった可能性が高いことだ。
10球団体制とは、巨人によるリーグ支配を意味する。ソフトバンクはベンチャービジネスとしてプロ野球を経営しようと考えていたから、古臭い巨人の干渉を受けるのであれば、参入を考えたと思う。
球界再編後、プロ野球、とりわけパ・リーグは地元密着型のビジネスモデルを構築して、新しい顧客層を獲得した。これをリードしたのがソフトバンクだった。ファンクラブを中心とした濃厚なリピーターマーケティングを展開したのだ。
他の球団はソフトバンクのやり方に倣って新たなビジネスモデルで、少なくとも150万人以上の年間顧客を獲得するようになった。セ・リーグでもDeNAや広島がこれに追随した。

ナベツネの1リーグ10球団構想が成立すれば、ソフトバンクは参入をためらっただろうし、参入しても頭の古いリーグ幹部の制約にあって、十分にビジネスを展開できなかったと考えられる。

1リーグ10球団は観客動員や売り上げが伸び悩んで、消滅するか、再度の再編騒動が起こったのではないかと思う。

ナベツネは
「球団が消滅すれば、ファンが離れてしまいますが」
と聞かれても、ほとんど関心がなかったようで
「そうかもしれんが、困っているというから助けてやろうと思ったんだ」
といった。結局、政治の世界の人間であって、ビジネス、とりわけスポーツビジネスには全く興味もなく、知識もなかったのだろう。

1リーグ10球団構想が、古田敦也など選手会の抵抗で崩壊したことは、まことによかったと改めて思う。

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大島康徳、チーム別&球場別&選手別アベックHR数|本塁打大全

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