国際大会のたびに思うのだが、日本と他国、とくにアメリカ大陸の国の「野球」は別物だと思う。

昨日の日本ードミニカ共和国戦、チーム全体ではドミニカ共和国はお話にならないレベルだった。
引退した40歳のバティスタが2番一塁にいるし、MLBにクビになってメキシカンリーグでプレーしている30代のロートル選手で世界最終予選で「調子がよかった選手」が中軸を打っている。
なかにファン・ロドリゲスのような「数年先のスーパースター間違いなし」の選手もいるが、年齢もキャリアも寄せ集めの集団だ。日本の基準でいえば「野球チームとは言えない」かもしれない。

体形もひどい。でっぷりとした中年オヤジ風がベンチに座っている。昨日の3番手投手、ジャンボ・ディアスなどは193㎝143㎏である。日本では国技館に行かないとこういう大男はいない。
ドミニカ共和国のユニフォームは日本製だが、メーカーは採寸が大変だっただろう。

これに対し、小さい頃から野球に打ち込み、高校や大学でも磨きをかけてドラフト上位でNPBに入団したエリート中のエリートで、プロに行っても高度な野球を身に着けてきた。そして球団こそ違うが、「NPBの野球」を一体感を持ってプレーすることができる。もちろん全員、均整の取れたアスリートの体格だ。

しかし日本はそんなドミニカ共和国にもうちょっとで負けそうになった。
日本の巨人で好成績を上げているCCメルセデスが先発だったことが大きいが、日本の一線級の投手である青柳や、若手随一のクローザー、栗林も打ち込まれた。普通であればありえない。ロートルのおっさんにプロのトップ投手が打ち込まれるなんてありえない。

日本がプレッシャーで固くなっていたのはあるとしても、それだけではないのだ。
日本の選手は「キャリア」で野球をしている。どこどこ高校で甲子園に出て、何々大学で神宮に出て、ドラフト何位で入団してオールスターに出て、その肩書がプライドとなり、プレーのクオリティの裏付けになっている。

これに対し、ドミニカ共和国は「野球がやりたい気持ち」で野球をしている。相手がだれであっても、目の前に来たボールを打つ、投げる、走る。彼らの多くはドミニカのアカデミーで野球を覚えたが「思い切りバットを振れ」「いい恰好をしてボールを投げろ」と言われてきた。そのころのシンプルな「野球」への気持ちが残っている。
もちろん、ここで活躍すればNPBに行けるかもしれない、という下心はあるにしても、安打を打って一塁で小さくダンスをする彼らのマインドは、野球少年のまんまなのだろう。

今の日本野球に足りないのはこの部分だ。野球の競技人口が激減しているのは「野球を出世の道具にする」人はまだたくさんいるが「野球を楽しむ」「野球を一生の友にする」にする人、そんな野球を伝える人が減少しているからだろう。

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大島康徳、チーム別&球場別&選手別アベックHR数|本塁打大全

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