英語でいうとInside-the-park home run。ランニングホームランは、日本でしか通用しない。そもそも普通の本塁打でも「走らないと」点は入らない。ただ、語感としてはよくわかる。

意外なようだが、野球記録で「ランニングホームラン」は、さく越えホームランと公式には区別されていない。
戦後は、公式記録員がスコアブックの余白にホームランの飛距離を記入するようになって、だいたいわかるようになったが、戦前はわからない。また高校野球なども、記録されていない。
できたころの甲子園球場が、両翼110m、左右中間が130mもあるという今では考えられない巨大なものだったので、中等学校野球大会時代の甲子園でのホームランや、戦前の阪神のホームランの大部分はランニングだったといわれる。

MLBでは1890年から1905年までプレーしたジェシー・バーケットが55本打ったのが最高。この選手は通算75本塁打だから、ほとんどがランニングホームランだったのだ。
日本では木塚忠助(南海-近鉄)、杉山悟(中日-国鉄-近鉄)の5本が最多だそうだ。韋駄天の木塚は納得できるが、大柄で「デカちゃん」と言われた杉山は意外だ。

外野守備が進化した近代の野球では、レアな記録になっている。昨日のオリックス、若月健矢は今季NPB2本目。1本目は同じオリックスの宗佑磨が5月3日の西武戦で記録。宗は昨年も7月25日の楽天戦で記録。2018年のオープン戦では先頭打者ランニングホームランも記録。当代のオーソリティといえよう。

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ただ現代のランニングホームランは、外野手、外野守備に何らかのアクシデントがあった場合にほぼ限られる。いくつかのパターンに分けられる

1.外野手が打球を後逸
ダイビングキャッチなどをして捕球できず、球が外野を転々として走者がホームインするケース。守備が良い外野手にありがちだ。

2.外野手が捕球行動の際にアクシデント
昨日の牧原大成ように外野手がフェンスにぶつかるなどで倒れこみ、この間に走者がかえってくるケース。負傷した外野手を気遣って他の野手がインプレーのまま駆けつけてホームランになることもある。

3.フェンス際で打球が不規則に弾む
2007年のMLBオールスターでイチローが打ったランニングホームランは、外野フェンスを直撃した打球がフェンス沿いに転がったもの。こういうパターンもまれにある。

4.さく越えホームランと勘違い
外野フェンスの最上部に当たって、外野手がホームランと判断して球の捕捉行動をやめたり、緩慢に動いたりして打者のホーム通過を許すもの。

もう一つ言うなら三塁コーチの判断も重要だ。コーチの「いける」という判断もなければならない。

外野手に失策が付けばランニングホームランではなくなるが、このあたり公式記録員も関与しているといえる。

昨日、私は少年野球を見ていたが、こうしたレベルではランニングホームランはふつうにみられるが、プロ野球では上記のように何らかの「訳アリ」がない限り見られない。

オリックス時代のイチローは1994年、宮古島でのオープン戦でデニー友利から「ランニング満塁ホームラン」を打った。この年に210安打を打つのだ。

ランニングホームランは、ドラマチックなストーリを生むことが多い。めったに見られないが、野球のだいご味の一つではないか。


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