昨日のスポニチの報道「来季ホームタウン制撤廃へ 創設時の理念『地域密着』から新様式に 今月中にも正式決定」などの報道に対して、村井チェアマンがコメントを発表した。
「JリーグではJクラブの本拠地を『ホームタウン』と呼び、Jクラブはホームタウンと定めた地域で、その地域社会と一体となったクラブづくりを行いながらサッカーの普及、振興に努めなければならないと定めています。
 このホームタウン制度について撤廃・変更の事実は一切なく、今後、Jクラブの営業、プロモーション、イベント等のマーケティング活動における活動エリアに関する考え方の方向性について議論しているものです。Jリーグが創設当初から掲げている地域密着の思想が揺らぐものでは全くありません」


スポニチは誤報だと言う見方もあるが、誤報であればチェアマンがこんなコメントを出すことはない。スポニチに「事実無根」と抗議をしたうえで記事の撤回、謝罪を求める。これは、まだ議論の途上にある案件を、Jリーグ枢要の立場にある人が、先走ってリークしたのだ。あるいは意図的なものだったかもしれない。

チェアマンのコメントにもあるように「Jクラブの営業、プロモーション、イベント等のマーケティング活動における活動エリアに関する考え方の方向性について議論している」のは事実で、もっと平たく言えば、資金に余裕があり、コロナ明けに向けて大々的に営業活動を展開したいクラブが、フランチャイズを越えて興行やファン醸成の取り組みをしたいと言っているのだ。

NPBはJリーグ以上に厳しいフランチャイズ(NPB的には保護地域)を決めている。西武やDeNAなどは子供相手の野球教室を積極的に展開していて、東京都民から参加したいと言われることがあるが、フランチャイズがあるのでできない。その点は非常に厳格だ。12球団が存在しないエリアには保護地域が設定されていないが、それでもある程度の縄張りはある。春秋のキャンプ地、企業的に縁がある地域などだ。
最近は、巨人が京セラドーム大阪で主催試合をしたり、ソフトバンクが東京ドームで主催試合をすることがあるが、これは保護地域を有する球団がOKを出したからだ。オリックスグループは京セラドームを傘下に入れているが、収益を考えればどんどん他球団に主催試合を売りたいところだ。
そういう柔軟な適応はあるが、基本的な保護地域は変わっていない。

Jリーグの場合57ものクラブが存在し、実質的なフランチャイズは複雑な状況になっている。独禁法的には問題ありとされているが、ホームタウンを中心としたフランチャイズで独占的なマーケティングができることがクラブ存立の前提だったはずだ。それを一部クラブが変えようとすることは、特にJ3など弱小クラブにとっては死活問題だ。

V・ファーレン長崎の髙田春奈社長は
え?と思った記事の見出し。もちろんホームタウン制撤廃なんてありえません。いつもサポーターや自治体、地元企業と相対して仕事してるクラブが、そんなこと賛同するわけもないです。

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と強く拒絶している。一方で、鹿島アントラーズFCの小泉文明社長は
この記事内容には大きな方針転換だとミスリードされる可能性がある記載があるので少し補足します。
Jリーグもクラブも今までのホームタウンを中心とする考え方を変更することはなく、100年構想にあるようにこれからもホームタウンとともに歩んでいく方針です。

としつつも
一方で今のレギュレーションではホータウン外でのマーケティング活動が制限されており、例えばスポンサー企業が域外にある場合(J1では大型のスポンサー企業は東京など都市圏)一緒にイベントをすることも出来ないですし、パブリックビューイングなど、かなりの活動が制限されます。
(中略)
Jリーグの健全な発展のために基本方針は変えずに時代に即したアップデートをしたという考え方なので、記事にあるような大転換で無いことをご理解頂けるとありがたいです。
(中略)
ネーミングライツについてのコメントをしてなかったですね。こちらはまだ議論し始めたばかりであり、何も決まってない状況です。個人的には理念にそぐわない面もあり反対の立場ですが、一方で企業=悪という考え方には反対です。


と言っている。この2人の社長には「温度差」があると思われる。
Jリーグはここまで基本的に一枚岩でやってきたが、コロナ禍と言う未曽有の危機の中で、いわゆる「球界再編」のような事態になる可能性があるのだろう。
ただ危機に際して改革の機運が起こるのは、それはそれで健全なことではあろう。

コロナ禍の危機という点ではNPBも同様だが、親会社がつぶれなかったのであまり危機感はないかもしれない。ただ、元通りに戻ると考えるのは甘いだろう。今後について何を考えているのか、オフになれば私は各球団の経営幹部に取材をしようと思っている。



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