「公式戦の引退試合」といい「新庄剛志の監督就任」といい、最近のプロ野球は頭のねじがかなり緩んでいるとしか思えない。まじめな人、しっかりした人もたくさんいるが、かなりおかしくなっていると思う。
スポーツが人々の耳目を引き付け、エキサイトさせるのは「真剣に勝負をしている」からだ。勝つためにすべての努力を惜しまないからだ。もちろん、その前提には「フェアであること」「ゲーム、相手選手、チームメイト、審判を尊敬すること」などがあるが、ことゲームについては、純粋に「勝つこと」に真摯でなければならない。それは「勝利至上主義」ではなく「競技至上主義」と言ってもよいと思う。

「競技至上主義」たるスポーツは、ときとして観るものを残念がらせることもある。「こうなってくれたらすごいのに」と思ってもそうならないことがあるのだ。観衆の望み通りにならないことも、スポーツの味わいだ。むしろめったに望みどおりにならないから、そうなったときの感動が大きいのだ。

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今のプロ野球で残念なことは、純粋な「競技」の中に、「こうなってくれたら面白いのに」という他の要素を混入させたいという動きがあることだ。「公式戦での引退試合」は、純粋の「競技」に、お涙頂戴のドラマを混入させることだ。そうすることで一部のお客が喜ぶので、球団の判断でそうしているのだ。
「新庄剛志の監督就任」は、「面白いことばかり言う型破りの元野球人が、プロ野球チームを率いるってwwww」みたいな感情で決められた人事ではないかと思う。
プロ野球も企業である限り、マネジメントからリスクを排除するのは当然の責務のはずだが、リスクの塊のような人物を監督に据えた。「ファンに受けたい」「話題性を高めたい」との思いだけで決めたのではないかと思う。

こうした動きが顕著になるのは、テレビなどのメディアが「エンタメ」に大きく傾いていることと関係がある。今の日本のマーケティングは「エンタメ至上主義」といってもいい。テレビやYoutubeなどで「受ける」「面白い」と言われたものが、メジャーになっていくという風潮がある。これにプロ野球も乗っかろうとしているのではないか。
バラエティの中には元アスリートが素人の芸人などと対戦する「疑似スポーツ」もたくさんある。こうした番組ではどんな状況でも実現可能だ。そして一応「真剣勝負」を銘打っていることも多い。所詮お遊びにすぎないこうした番組に親しんだ人々が、プロ野球へのエンタメ要素の混入にも賛成しているのではないか。

いい加減にしてほしいと思う。こうしたことが常態化すれば、次は元野球選手の芸人をプロ野球界に受け入れるとか(事実、独立リーグではあった)、競技性を減損させるような演出がずるずると容認される可能性が出てくる。

若いころから競技に打ち込むアスリートにとって、それは幻滅以外の何物でもないし、まじめにスポーツを観戦してきたファンにとっても残念でしかない。

「プロ野球も人気商売なんだから」と訳知り顔でいう人は本質を何もわかっていない。

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引退後の新庄剛志は、今のところ野球人として真摯な部分を一辺たりとも見せていない。遊び半分で様々なことを行って耳目を集め、お金をもらっているだけである。「本当はすごくまじめで、理論的で、真摯な人だ」とのことだが、だとすれば今の新庄は、あほの坂田のように「あほの真似をしている」ということなのか?何のために?

私は現役時代から新庄剛志が好きではなかった。競技以外の話題が多すぎたからだ。でも彼が本当に指導者として競技に真摯に向き合うのなら評価を改めたいと思うが、今のところその兆候は全くない。新庄剛志が監督になることに賛成できる要素は全くない。

「エンタメ至上主義」のプロ野球はどこに行くのか、嘆かわしい限りだ。


引分投手にホールドを!!

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