大谷翔平が「国民栄誉賞」を辞退したという。「まだ早いので今回は辞退させていただきたい」というのは当然のことだろう。
権力が人気者に虚飾を授けること「屋上屋を架す」も極まれりという感がある。

もともと国民栄誉賞は、1977年、ハンク・アーロンの本塁打記録を抜いた王貞治をたたえるために時の福田赳夫政権が創設したものだ。
当時も、政府が民間人に授与する賞には文化勲章など賞もあり、叙勲もあったが、王貞治は37歳と若く、該当する賞がなかったから作ったわけだ。

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以後、歌手や俳優、漫画家など27人が授与された。ざっくり言えば「町のおっちゃんおばちゃんでも知っている庶民受けのする国民的ヒーロー」に与える賞ということだ。歌舞伎俳優や小説家、クラシックの音楽家などは選ばれていない。

また選定の基準も恣意的だ。2013年5月5日には長嶋茂雄と松井秀喜がダブルで選ばれた。長嶋よりも成績が良い落合博満や張本勲、金田正一は選ばれていない。また松井秀喜よりも成績が良いイチローは受賞を辞退している。
この時のダブル受賞は、前年誕生した安倍晋三政権が、国民の人気取りをしたいために、読売の渡辺恒雄に話をして通したのだと言われている。松井は受賞を辞退したかったが、長嶋とのつながりで受けざるを得なかったという。

国民栄誉賞を最も多く授与した首相は安倍晋三。人気獲得のためなら何でもするポピュリスト宰相の面目躍如だ。プロ野球選手は王貞治、衣笠祥雄、長嶋茂雄、松井秀喜とすべてセ・リーグ。4人中3人が巨人。ナベツネが政権に恩を売った印象が強い。
この賞で馬鹿な国民が何万票か自民党に入れるだろうという思惑が透けて見える。

福本豊は「立小便ができなくなる」と辞退したとされるが、イチローともどもこの賞に「うさん臭さ」を感じたのではないか。

賞金は100万円程度と言われるが、芸術院や学士院のように年金があるわけでもないし、メリットは少ない。
むしろ「政権に阿った人物」という色がつく。長嶋茂雄はそれでもいいのだろうが、他の人はあまりうれしくないだろう。

大谷翔平が断ったのはもっともなことだと思う。

新政権の割に人気が上がらない岸田文雄政権のお先棒を担いでも、いいことなど一つもない。

イチローに続いて大谷翔平が断ったことで、国民栄誉賞の権威は傷ついた。いっそのことやめてしまえばいいと思う。


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