今年のトライアウトはメットライフドームで行われた。気温8度、観客を一切シャットアウトした厳戒態勢、しかも厳寒でのトライアウトは例年とは異なる雰囲気ではあった。
私はNumber Webの指定席で、モニターを見ながら安倍昌彦さんと並んで観戦した。メディアの数は少なく、客席にはNPBとアマチュア、独立リーグのスカウト、そして少数の選手家族がいただけだ。
新庄剛志、山川穂高が姿を現し、注目を集めた。

しかし、そんなメットライフドームでもテレビカメラがあちこちにあって、選手の家族を撮っていた。
言わずと知れたTBS「プロ野球戦力外通告」のための収録だ。今年でなんと18回目だと言う。

今年、番組が取り上げたのは川原弘之、高野圭佑、そしてトライアウトには出場しなかった牧田和久の3人だ。

番組はパターンが決まっている。戦力外通告されてトライアウトを受けるまでの葛藤、家族の心配。トライアウト当日の様子、見に来た家族の声援、そしてトライアウト後「5日間」とされるオファーまでの時間を待つ選手の表情。

選手が違うだけで、毎年同じパターンの番組だが、18年も続いているのは視聴率が取れるからだろう。

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視聴者は、将来が定まらない選手や家族に「身につまされる」思いがしている。もちろん、応援する気持ちもあるのだが、同時に「人の不幸は蜜の味」という気持ちもある。合格発表など、誰でも人生の岐路でドキドキした経験はあるが、赤の他人のことなら楽しんでみることができる。
また、家族が旦那の行く末を心配するのも、楽しみどころの一つだ。美人の奥さん、かわいい子どもの不安な表情もこたえられない。
テレビの前ではおっさん、おばはんが「身体は立派かも知れんけど、プロ野球選手なんて盛りは短いんだよ、見せかけだけで結婚したら苦労するんよ、馬鹿だねえ」などとしたり顔で言っていることだろう。

それだけではなく、選手など有名人のプライベートを無断で暴露する素人サイトが飛びついてネタにする。この手のサイトはネットをちょっと調べるだけで最低限の調査もしていないが、こういうサイトがアクセス稼ぎで憶測を書きまくるのだ。

この番組は「ヒューマンストーリー」の顔をした「悪趣味覗き番組」だと思う。1度2度ならいいが、毎年この番組を楽しみにしている人は、確実に顔の表情が醜くなってきていると思う。


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