ジョコビッチは全豪オープンから締め出されたが、それだけではなく全仏など他の国際大会から追放される可能性が出てきた。
ジョコビッチは昨年12月にコロナ陽性となったが、それによって「免疫」ができたとして全豪オープンに出場しようとしていた。
ジョコビッチは「ワクチン接種」に否定的であり、明言していないがワクチンは接種していないとされる。しかし自らの競技生活を続行するために、口実を設けてオーストラリアに入国し、試合に出ようとした。
しかし手続き上の問題があったうえに、虚偽の申請をしていることが明らかになって入国できず、強制退去の処分になった。

ジョコビッチは「反ワクチン主義者」ではないが、ワクチンの効果に懐疑的であり、その義務化には強く反対してきた。もともとグルテンアレルギーがあり、化学療法よりも自然療法を信用する傾向が強かったと言う。

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平時であれば、まともな社会では、こういう人の信条も尊重される。食事や生活習慣についても他の価値観を強制されることはない。
しかし新型コロナのパンデミックと言う非常時にあっては、その信条が「社会の防疫体制」に不利益に働く場合は、活動が制限される。だからジョコビッチはワクチンを接種しない限り、全豪からも、それ以降の国際大会からも排除される。

新形コロナの変異株はワクチンを接種した人も感染させている。ワクチンの効果は限定的であることが明らかになったが、同時に「ワクチン接種のメリット」は、かなり精細なレベルで明らかになってきた。ワクチンの2回接種によって、ある程度の感染抑止ができる。また感染した場合も重症化させない効果がある。オミクロン株は感染力が強いが、2回接種した人は重症化する率が低い。ブースター接種をすれば感染、重症化のリスクは大幅に軽減される。
こうした「ワクチン接種の効果」すでに世界で共有されている認識だと考えられる。

「ワクチン陰謀論者」は論外にしても「反ワクチン主義者」さらには「ワクチン懐疑者」もどんどん排除されている。彼らは「ワクチンに反対する理由」のアップデートができていない。
もちろん副反応は多くの人に出るし、中には死亡する人もいるが、どんな治療にでもリスクは存在している。ワクチン接種がことさらハイリスクな治療法ではない。ワクチンの効果はもちろん限定的だが、100%効果がある治療法も存在しない。

「反ワクチン主義者」「ワクチン懐疑者」は、ワクチン接種による副反応や死者についてあげつらうが、その数字と、ワクチン不接種による感染や重症化、死者との比較はしようとはしない。
またワクチンに否定的な人々の多くは、マスクの着用など基本的な感染症対策にも否定的な場合が多い。ジョコビッチもノーマスクで人々と交流する姿が報じられている。要するに「新型コロナの感染症対策」そのものに否定的なのだ。

その根底には「個人主義」「自由主義」に対する過度な信憑がある。自らの信条が非常識で、社会全体の不利益につながると言う認識は小さく「私たちはこんなに正しいのに、なぜ認められないのか」という思い込みが強い。

新形コロナに関して、ネット上で詳細なデータが公開されている。それらは「コロナ、パンデミック」の実態について明らかにしつつあるが、「反ワクチン主義者」は、そうした情報を信用せず、偏狭で科学的根拠のない妄説を信じている。これまでもそういう人はいただろうが、ネット社会ではそうした人がつながって一つの勢力になりつつある。「反知性主義」ということもできよう。

少し飛躍するが、アメリカのトランプ信者も“変なこと”をひたすら信じるという点で、同様ではあろう。今後の社会は、これらの身勝手な人々によって、大きなコストを抱えることになるだろう。


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