「いじめ事件」を起こしたのは、愛知県の私立豊川高校だという。この高校は2014年に選抜に出場している。伊奈努、西沢正次など昔からプロ野球選手は輩出しているが、中京大中京、東邦、享栄、愛工大名電など強豪校がひしめく中では、三番手クラスと言えるだろう。

この間の大阪偕星のケースもそうだが、今、高校野球界で、問題行動を起こす学校はだいたいこういうクラスである。
伝統校のように黙っていて有力選手が集まってくるわけではない。一人の選手を獲得するためには「特待生」だけでなく、様々な便宜を図る必要がある。
ブランドとして学校名を立たせるためには、何としても「甲子園」に行く必要があるから、実績のある指導者を引っ張ってくるのだが、その際には、素行面に問題があったり、首をかしげるような指導法だったりしても、とりあえずは目をつむる。
採用に際しては
「何年で甲子園に行けるのか?」
と約束させられる指導者もいる。
その代わり施設、環境の充実にはある程度の投資はする。よい中学生を獲得するための資金も出す。学校経営者は「何が何でも甲子園に」という一事に凝り固まって、力を注入するのだ。

その結果として、何年か経てばたまたま良い投手が入ってくるなどして、秋の大会で好成績を上げて選抜に選ばれたりする。

これくらいまでは、金さえかければそんなに難しくはないのだ。

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学校は喜ぶが、そこから先が難しい。力のない指導者は、とにかくしごきまくって生徒を強くしようとする。だからけが人、故障者も出るが、そもそも「子供の将来」をかんがえているわけではなく「目先の勝利」優先だからお構いなしである。

そうした指導者の下、選手もすさんでくる。「いじめ」などの不祥事は増え、飲酒、喫煙などの問題行動も出てくる。
また「甲子園に行けるから」と子供をやった親の中には「うちの子が不当に扱われている」とクレームを言う人も出てくる。

要するに「甲子園至上主義」に、あとから参戦するような学校が、一番やばいのである。
そうした例が、毎年ぽつぽつと出てきている。

教育やスポーツとは程遠い、ゆがんだ上昇志向がおかしな問題を引き起こすのだ。

しかし日本の高校野球の現状は例によって変わることはないのだ。



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