今日の「羽鳥慎一モーニングショー」で玉川徹は「ウクライナは人命がこれ以上失われないうちに、降伏するのも一つの選択、第二次世界大戦でもベルギーはいち早く降伏したことで多くの人命が救われた」と言った。ウクライナの人は腹立たしく思ったと思う。

これ、本田圭佑の考え方と基本的には同じだ。長い物には巻かれろと言うことだ。
ベルギーの選択が「成功」と言えるのは、その後、連合国がナチスドイツを崩壊させたからだ。ロシアがナチスと同じ運命をたどるのなら、それも良いかもしれないが、ウクライナが降伏しただけで、ロシアが存続するのなら、話が全く違ってくる。

そしてロシアが何より望むのも「早い時期でのウクライナの降伏」だ。
これによってロシアは戦後のウクライナで有利な交渉をすることができる。西欧諸国は引き続き厳しい目を注ぐかもしれないが、戦争が終わってしまい、ロシアがウクライナを実効支配するようになれば、国際的な関心は薄れてしまう。そんな中でウクライナ国内ではロシアは好きなように振舞うことができる。クリミア半島と同じになるのだ。
ゼレンスキー以下の旧政権の人物を殺したり、追放するとともに、傀儡政権、少なくとも「反ロシア」ではない政権を樹立して、NATO、EU加盟を阻止することができる。言論弾圧をすることで、表面上はウクライナを「無力化」することができる。

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つまり、今、戦争を一方的な「ウクライナの敗北」で終わらせることで、ウクライナの人々がゼレンスキー政権を選択したことで作ろうとした「新たなウクライナ国家」は、完全に終焉を迎えることになる。

玉川徹が「それでも死なないだけいいじゃないか」と言うのだとすれば、全くの他人ごとに過ぎない。

それ以外にも、日本には「ウクライナは無駄な抵抗をやめよ」「NATOはロシアと話し合いをすべきではないか」という声が少なからずある。橋下徹、維新などはこれを声高に言っているが、維新には鈴木宗男と言う日本におけるロシアの権益を代表する政治家もいるし、バイアスがかかっているとみるべきだと思う。維新は中華人民共和国の人権侵害もあまり非難しない。

ロシアのウクライナ侵略は、早々に止めなければならないのは自明の理だ。しかし終戦は軍事的な「ロシアの圧勝」で終わらせてはならない。少なくともロシアが深刻なダメージを負い、プーチンの政治基盤が揺るぐような事態にまで至って、初めて「停戦合意」を行うべきだと思う。

ウクライナの人命損失をできるだけ少なくするために、世界はできるだけのことをすべきだが、それと「どうせかないっこないんだから、手を挙げたほうがいいよ」というのは、似て非なることだと思う。


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