北京パラリンピックの開会式でアンドリュー・パーソンズ会長が名指しは避けたものの、ロシアのウクライナ侵攻を強く非難し、最後の「ピース」と叫ぶメッセージを発し、大きな反響を呼んだ。
パーソンズ会長は、一度はパラリンピックへのロシア、ベラルーシの選手の個人参加を承認した。しかし翌日に翻意して、不出場の決断を下した。本人の意思も揺らいでいらのだろうが「戦争反対」を強く打ち出さないと、パラリンピックが維持できないと考えたのだろう。

このメッセージは世界に発信されたが、足元の中国では、メッセージの途中から音声を消し、同時通訳も行わなかった。中国共産党の方針と必ずしも一致しないからではあろうが、「戦争の停止」や「平和」が「禁忌」になる国とはどんな国なのかと思う。中国は小国ではない、GDP世界第2位の超大国なのだ。

そしてロシアでは今回のウクライナ侵略に関して、「偽情報」や「信用失墜を狙った情報」と当局がみなす内容を広めた場合、最大で禁錮15年を科す刑法改正を行った。この侵略を「戦争」ということも、ロシア軍が一般市民を攻撃していることも、ロシア軍に投降者や捕虜が大漁に出ていることも報道してはいけない。ただ、国が言う通り「ロシアはウクライナのネオナチを相当するために平和維持軍を派遣している」と報道することだけが許される。

おかしな体制の国の権力は、まず「報道」「メディア」を規制しようとするのだ。人々が目の前で起こっていることをメディアがそのまま伝えることを「危険だ」とし、これを遮蔽し、偽の事実を捏造し、自分たちの都合の良い「世論」を作ろうとする。

それは何も中国やロシアだけではない。強権的な考えの政治家は、必ずメディアを目の敵にする。恫喝したり、圧力をかけたりする。そして自分たちの意に沿う情報だけを流すメディアを優遇する。

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日本では、権力者や企業の目を気にしてメディアが勝手に「報道しない」「事実をゆがめる」ケースもある。これを「忖度」というが、すでに民主主義、報道の自由の根太の部分が腐り始めていると言ってもよいと思う。
記者クラブなどによって、取材源とメディアが癒着することも、腐食ということができるだろう。
スポーツのような報道の一分野でもそうした腐食が始まっている。

メディアを威嚇する権力者、権力に遠慮するメディア、ともに民主主義の腐食の兆候であり、中国やロシアのような政治体制に巻き込まれる危険性をはらんでいると言えよう。


NOWAR


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