Twitter社を5兆円出して買収しようとしている。一個人でありながら、結構な規模の「国家」と同じくらいの経済規模がある。「権力」も相応のものだろう。
イーロン・マスクは、私には「期待感を換金して」富を作ったかのように思える。
その過程で見えてきたのは「新自由主義の極致」ともいうべき思想信条だ。自らのビジネスのためであれば、どんな力とでも手を結ぶ。
中国は最大のお得意さんだし、ドナルド・トランプとも仲が良い。民主主義や人権を軽視するこれらの国家や人物も「自分の資産を増やしてくれる」のなら、喜んで手を組むと言う印象だった。

イーロン・マスクがTwitter社を買収したのは、その運営に大きな不満があったからだとされる。とりわけドナルド・トランプのアカウントを永久に凍結したことが気に入らなかったようだ。マスクは「バカげたこと」としてアカウントを復活させると言う。

ここまで見ていると、マスクは独裁主義の信奉者、あるいは権威主義者の僕のように感じられるが、恐らくはそうではないだろう。
「自分の金儲け」「自分がやりたいこと」をする上で手を結べるところと提携しただけで、別に中国やトランプの同志になったわけではない。

テスラの販売に関して厳しい規制をし、自国産業に取り込もうとする中国とはその後、仲が悪くなったし、同じ独裁国家のロシアのウクライナ侵攻には反対して、ウクライナにはマスク率いる宇宙企業スペースXが提供するインターネットサービス「スターリンク」を提供した。

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マスクは国家の枠を超えて「自由に商売がしたい」のであり、権威主義、独裁主義に迎合したいわけではない。トランプに関しても彼の考え方を支持したわけではなく「ツイッターを凍結することで、彼や彼の支持者の暴走を止めることはできなかった」と、規制の効果、有効性を疑問視している。

今回のウクライナ侵略に関して、メディアやSNSは「親ロシア」的な言論を制限するようになっている。私は10年前からグーグルのアフィリエイトであるアドセンスを使っているが、アドセンスの公式サイトには
「ウクライナでの戦争を受け、Google は、戦争を利用するコンテンツ、戦争の存在を否定するコンテンツ、または戦争を容認するコンテンツを含む広告の収益化を一時停止します」と言うメッセージが表示されている。

これは一見正しいことのようだが、現在進行形の世の中の動きに、巨大メディアが即応するのはかなり危険だ。

ウクライナを侵略したロシアが「悪」で、ゼレンスキーのウクライナが「善」と言う図式は間違いないところではあるが、ロシアが「撤退戦略」に入りつつある現在、戦勝後のウクライナの体制がどうなるか、が焦点になってきはじめた。ゼレンスキーは、2月24日以前の地点まで国境線を押し戻すだけでなく、2014年にロシアに併合された「クリミア半島の奪回」にまで言及しはじめた。
クリミア半島は旧ウクライナ領ではあったが、ウクライナとは異なる歴史を持ち、何度も紛争地になってきた。この地の処遇については議論の余地があるだろう。
「ウクライナ全面支援」を打ち出している今の主要メディア、SNSが、ゼレンスキーの「クリミアへ奪還への野心」に対してどのような対応をするのか、かなり気がかりだ。

「言論の自由」の基本に立ち戻るなら、SNSやメディアは本来、「一切の制約」なく報道、発言すべきものではある。「この国は間違っているから」「この人はおかしいから」規制すると言うのは、矛盾を生む可能性があるし、SNSやメディアの信頼をも失墜させる可能性がある。

削除したり規制すべきは個別の「フェイクニュース」「誹謗中傷」などであり、SNS、メディアはそれを丁寧に捕捉して潰していくべきなのだ。

イーロン・マスクは「完全に自由な世界」を求めているのであって、中途半端な規制はかえって権威主義者や悪党のバックグラウンドでの暗躍を許す、と言っているのだと思う。
トランプに問題があるのなら、大手メディアやSNSが真正面から論破し、排除すべきであって口を封じるべきではないと言うことだ。
今回のTwitter社の買収を、私はこういう風に解釈したい。

ま、お金持ちの常として、すぐに飽きてぽーんと手放す可能性もなくはないが?


NOWAR


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