あらゆるスポーツのルールは、歴史に根差している。なぜこのルールができたのかを知るためには、歴史を知らなければならない。「ストライク」もまたしかり。
「Strike」とは「打て」と言う意味だ。
大昔の野球は投手が打者に「打ちやすい球」を投げていた。打者は「高低左右」などを投手に要求することもできた。その代わりに打者は打てるゾーンに来た球は打たなければならない。打てるゾーンに来たのに打たなかった場合に、審判は「Strike(打て)」と促したわけだ。3度打てるゾーンの球を見逃したり、バットに当てられなかった場合、これが3つになれば「ストライクアウト」となる。
当然のことながら打者によって「打てるゾーン」は異なる。審判は投手、打者の関係を見ながら「ストライク」を宣する判断をしてきた。審判によっても「ストライク」を宣する状況は異なっていた。

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ルールが整備される中で「ストライク」も客観的な基準が必要と言うことになって「ストライクゾーン」が定められた。いろいろ改訂されてきたが、現在の公認野球規則では

STRIKE ZONE「ストライクゾーン」〈2.74〉— 打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、膝頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。
このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである。


となっている。

また
投球を待つ打者が、いつもと異なった打撃姿勢をとってストライクゾーンを小さく見せるためにかがんだりしても、球審は、これを無視してその打者が投球を打つための姿勢に従って、ストライクゾーンを決定する。
と付記されている。

これを見てもわかるように「ストライクゾーン」は、単なる空間上の「ゾーン」ではなく、ある打者が本来取るべき「打撃の構え」を審判が想定して、空間上に規定する「イメージ」だ。このことに留意したい。

その上で、さらに重要なことは野球における「ストライク」とは、審判が想定する「ストライクゾーン」を通過したボールのうち、審判が「ストライク」と判断した投球だと言うことだ。

変化球の中にはストライクゾーンをわずかにかすめてワンバウンドしたり、大きくそれていく球がある。現在の審判はこれを「ストライク」とは判断していない。

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AIがストライクボールの判断をするようになれば、こうしたボールも「ストライク」になる可能性が高い。「AIが導入されて、ストライクゾーンが決められれば、選手はそれに従えばいい。大した問題ではない」と言うかもしれないが、トラッキングシステムの進化によって、投手は自分がイメージする軌道を描く変化球を投げられるようになっている。
AIのストライクゾーンが絶対ということになれば、ゾーンをかすめるがバットが届かないような変化球が生まれることも考えられる。その都度「例外事項」を設けることになるだろうが、そうしたいたちごっこは「不毛」ではないかと思われる。

それよりも審判が「ストライクゾーンを通過しても打者が打つに適していない」と判断した球は「ボール」と判定する方が適切ではないかと思う。いかがだろうか?


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