一般の人はそう思わないかもしれないが甲子園を「やめてしまう」機運はかなり高まっている。
一つは「部活の全国大会」への批判。小学生の柔道の全国大会が廃止になったが、就学年代の「全国大会」の弊害がとみに明らかになってきている。全国大会は極端な「勝利至上主義」を招きかねないうえに、子供の健康障害や、ストレスの原因になり、親の負担も多いなど問題が噴出している。欧米では就学年代の「全国大会」はすでに行われないようになっている。
「甲子園」は日本の「全国大会」の嚆矢であり、今も最大級の大会だ。それだけにネガティブな側面も非常に大きい。

もう一つは「甲子園」を行うことのメリットが減退していること。日本高野連は「アマチュアリズム」に固執したために、これほど大きな大会でありながら、入場料収入、メディア収入などをほとんど得てこなかった。コロナ禍で甲子園大会が行えなかったことで、日本高野連も各県高野連も経済的に窮地に陥っている。今回の甲子園大会の大幅値上げはそのためだが、放映権料を取っていないから、大幅値上げをしても経済的には依然、厳しい状況にある。

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そして新聞、メディアにとっても「甲子園」は部数増や視聴率アップを生む「打ち出の小槌」ではなくなったこと。新聞と言うメディアはネット社会の進展によって構造不況が進んでいる。いかに「甲子園」を主宰してももはや部数アップにはつながらない。また放送局が甲子園を中継するのは「放映権料タダ」であるからで、視聴率は見込めなくなっている。朝日放送、毎日放送共に全試合の中継はやっていないが「甲子園」は、もはや魅力的なコンテンツではなくなっている。

「青春の汗と涙」などの美辞麗句は、今や手あかがつき、誰も振り向かなくなっている。

さらに若者世代の意識の変化によって「甲子園」は、「高校球児のあこがれの舞台」ではなくなっている。多くの高校球児にとって最終の目標は「甲子園」ではなくNPBやMLBになっている。もちろん「甲子園」に出るに越したことはないが、そこで負傷したり、パフォーマンスが低下する障がいを追うくらいなら出ないほうがいいと思うようになっている。

「甲子園」にこだわるのは「生徒募集ビジネス」に固執する私学と、昭和頭の野球ファン、それを相手にする一部のメディアに限定されつつある。

もちろん「甲子園」が今すぐ、全部なくなれば、野球人口減に拍車をかける要因になるだろうがそろそろ撤退戦略を考えるべき時に来ているのは間違いないところだ。



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