私はコピーライターとしても実働している。昨日、ある社史の取材でディレクターと車で移動していたら別のクライアントからディレクターに電話がかかってきて、ミスが見つかったと言う。その物件も私が書いたものだった。
私はドキッとしたがクライアント側の間違いだったようで、明日発送するまでに訂正文を紙片に印刷して挟み込みたいとのことだった。そうできればぎりぎりで体裁を保つことができる。
「クレーム」「ミス」などが発覚したときに、とにかく大事なのは「スピード」だ。謝るにしてもフォローするにしてもスピード感がいる。早く手を打てば燃え広がりは最小限にとどめることができる。
状況にもよるが、言い訳はとりあえず必要ない。責任転嫁はもっと必要ない。自己保身が見えれば相手の心証は最悪になる。

ビジネスの世界では常に起こりうる失敗、トラブルに対応するときに「バッドニュースにはとにかく早く」と言われる。私も若い頃はよく言われたが、失敗が見つかれば、何をおいてもすぐに対応する。大きな失敗であればその足でクライアントに謝罪に行く。すぐに手を打つ。それによって「延焼」を防ぐことができるし、相手の信用もそれ以上棄損しないで済む。

スポーツ界にはこの常識はないようで、炎上騒ぎが良く起こる。
秀岳館サッカー部の暴力沙汰も、クレーム対応としては最悪だった。段原監督はその責任をなかなか認めなかった。選手を使って姑息な糊塗策もやった。学校も段原監督の首を切るまでに1ヶ月近くかかってしまった。
ネット社会では事件が起きてから隠ぺいしようとしても無理なのだ。これだけ長い期間、世間に話題を提供しているうちに、批判の目はサッカー部だけでなく、学校全体に波及した。今朝、秀岳館の公式サイトを観に行くと、サイト全体が閉鎖になっていた。大炎上したのだろう。

ビジネスの世界では常に「顧客」「クライアント」「取引先」「コンシューマー」など「お金を払ってくれる人」を最優先にする。何をおいても相手に不利益をもたらさないよう、不利益を与えたらそれが拡大しないように手当をする。その際に必要なのが「スピード感」と「徹底」だ。小細工を弄すれば弄するほど事態は悪化する。

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しかしスポーツの世界ではなぜか知らないが「相手」よりも「自分」「自分の身内」を大事にすることが多い。
秀岳館の件でも暴力沙汰が起こって段原監督が最初にしたのは「自己保身」だった。そして学校も段原監督を守ることで学校に累が及ばないようにしようとした。
世間はこの事件が発覚した時から「学校、指導者に責任がある」ことはお見通しだった。だから監督、学校は悪あがきをしているようにしか見えなかった。

文春砲は、段原監督の「買春疑惑」まで報じた。学校側がさっさと段原監督を解雇していれば、この報道はなかったか、あったとしても「学校とは無関係」と言えたはずだ。しかしここまで引っ張ったことで「秀岳館の教員はここまでひどいのか」とイメージの悪化を招いた。

さらに言えば高校サッカーを統括するJFAも鈍ガメのように遅い。今頃になってJFAの須原専務理事は、秀岳館の暴行問題に「憤りを感じる」と言ったが、ここまで手をこまねいたことで、世間はJFAが「暴力沙汰を認めるのを渋っている」「指導者をかばおうとしている」と思ったはずだ。

野球もサッカーもそうだが「身内をかばう」「仲間を守ろうとする」体質が強すぎる。一番大事なのは金を払う「顧客」であり「生徒」だ。

ビジネスの世界では考えられないようなお粗末な対応をしているようでは、スポーツの改革はおぼつかない。ビジネスの世界と同様の「まともな価値観」を持つべきだろう。



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