ゼレンスキーはウクライナ侵略が始まって以降、戦闘参加が可能な壮年の男性が国外に避難することを禁じている。
総動員令を出し、国防のために18~60歳の男性の出国を原則禁止。これを解除する請願に対し「祖国の防衛は市民の義務」などと言っている。
私は従軍可能な世代から外れつつあるが、日本にロシアや中国が攻めてきて「20歳以上、50歳以下の男性はすべて自衛隊の参加で国防任務に就くように」と言われたら困惑するだろう。IT関係の仕事についている今年29歳になる倅はホワイトハッカーでもあるから、戦争に喜んで参加しそうな気がするが、家族としては心配だ。
しかし非常時にあって指導者が国民に「命を差し出すよう」求めるのは、当然のような気がする。人口で3倍近い大国であるロシアに備えるためには、兵隊の絶対数は重要なのだ。
ゼレンスキーは親ロ派の地方政治家を処刑したと言われている。また都市防衛に失敗した軍人を即刻解任したり、強権的な面も見え隠れしている。しかし自身も含め、命の危機に見舞われる中で、なりふり構わず手を打つのも当然であるように思える。
橋下徹は、ゼレンスキーが「壮年男性を強制的に従軍させる」ことに批判的で、
「日本有事の際に日本の政治家たちがこれを言い出したら止めなければならない」とした。
さらに「これまで何十年も満足に生きてきた政治家たちが若者の命の期間を縮めることは許されない。祖国防衛はあくまで自発的意思」と持論を展開した。
別に機会には「政治家たちこそ戦場に行け」とも言っている。
平均年齢60過ぎの丸腰政治家が前線に行っても、死ぬか逃げるか命乞いするかくらいしかやることはない。戦争はいつの時代も「働き盛り」が矢面に立つものであり、だからこそ避けるべきではあるのだが、橋下は「非常時を乗り切るために、国民を総動員しようとしているゼレンスキー」に対して一片の理解ももたないようだ。
一方で、ロシアでは今回の戦争が起こる前から、国民の人権は抑圧され、権力の恣意的な行使が日常的に行われている。プーチンは政敵や反政府的な人間を暗殺したり、重篤な障害を負わせたりしている。
そして戦争が起こると、徴兵したばかりの若者を何も知らせずに強制的に戦地に送ったり、障がい者さえも拉致同然に前線に送ったりしている。
そしてウクライナでは戦闘員以外の市民も虐殺しているし、捕虜や降伏した市民を強制的にロシア国内に送致している。
ロシアは平時、戦時を問わず、民主主義国家では考えられないような人権弾圧を平気で行っているのだが、橋下はこのことにはほとんど触れないのだ。
「今度の戦争はプーチンのロシアが悪いのは当然として」と枕詞のように言うが、国家の定常的な方針として「人権弾圧」を行っているロシア、プーチンにはあまり触れずに、戦時、非常時となってやむを得ず「人権の一部停止」を選択せざるを得なくなったウクライナ、ゼレンスキーは非難しているのだ。
「ロシアのやっていることはたいしたことではない、ウクライナの方がひどい」と受け止められても仕方がないような橋下の「非対称性」はどこからきているのか?
橋下徹がロシア、中国の利権とつながっていないのであれば、個人の感情として橋下が「強権的な独裁者」にシンパシーを抱いているのではないかと思ってしまう。
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