筒香嘉智も秋山翔吾も、さらには鈴木誠也も、私は「MLBで成功すると信じるに足るファクトがない」と常々思っていた。
イチロー、松井秀喜、井口資仁、岩村明憲、松井稼頭央あたりを最後に、NPBからMLBに移籍して短期間にせよ「レギュラーで活躍した」と言える選手は出てきていない。福留孝介も今の鈴木誠也と同様、尻切れトンボであった。

これは日米の野球の格差が広がった、と言う一面も確かにあるが、それ以上に、MLBの野球が劇的に変化して「別物」になったという印象だろうか?

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データに基づく極端な守備シフトによって安打を打つのが厳しくなると、MLBの打者たちは「バレル」と呼ばれる本塁打が出やすいゾーンのボールを思い切り打ち上げる「フライボール革命」を起こした。投手は従来は内外角の低めを攻めていたが、打者がゴルフスイングになったために高めを攻めるようになった。細かな野球は姿を消し、1番から9番までボールをひっぱたいて本塁打狙いをするようになった。これに投手は多彩な変化球で対応するようになる。その結果として打者は三振の山をも築くようになった。

NPBであれば安打製造機、シュアな打撃ができる中軸打者、小技が得意な巧打者など、様々なタイプの打者がいるが、MLBではそういうタイプ分けはあまり意味をなさなくなった。もちろん、打順や役どころはあるがどんな打者でも「一発」が必須になったのだ。

秋山は、NPBではイチローのあとの最も優れた「安打製造機」だったのは間違いない。しかし、2011年以降、イチローが3割、200安打を打てなくなったことに象徴されるように、MLBの野球は「イチロー」を必要とはしていない。

筒香嘉智はNPBでは出塁率も高く、長打も打てるバランスの良い長距離打者だったが、MLBでは動く速球についていくことができず、不振に終わった。鈴木誠也も同様の道をたどる可能性があるだろう。

またチームが選手を見切るタイミングも早くなっている気がする。なぜ大谷翔平だけが、通用するのかはかなりの謎だ。また投手は今後も期待は持てると思うが、NPBのトップクラスの野手がMLBで活躍するルートはそろそろ閉ざされるのではないか。



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