LGBTQを認めると少子化が進む。あるいはLGBTQが増えたから少子化になった、と主張する人はほぼ間違いなく「勉強していない人」だ。保守政治家にこういう人が本当に多い。またLGBTを認めることが「家庭崩壊」につながると言う人も言う。知的レベルが低いとみなしてよいと思う。
日本の少子化、家庭崩壊に続く道のりは、高度経済成長期に始まっている。都市で産業が興隆し、多くの人手を必要としたため農村の若者は次々と都市に移り住んだ。さらに、地方にも産業が興り、地方も「都市化」した。都市に移り住んだ人は、そこで家族をもった。田舎では祖父祖母、父母などが同居する「多世代家族」が一般的だったが、都市部の家族は夫婦と子供による「核家族」だった。

高度経済成長期を果て安定成長、バブル期、そして「失われた20年」の時代、都市への人口の流入は続いたが、経済成長は頭打ちとなり、個人所得は伸び悩んだ。
21世紀に入り、新自由主義的な考え方が台頭すると「雇用の規制緩和」が進んだ。非正規雇用が様々な職業で導入され、年功序列、終身雇用ではない働き方をする「勤め人」が大量に出現した。非正規雇用の労働者は、高校生のアルバイトに毛が生えた程度の賃金で、正規社員と大して変わらない仕事を担うようになった。
一方で企業の「年功序列」「終身雇用」の変化は遅々として進まなかった。「非正規雇用」の進展と、「雇用の流動性」のなさによって、日本は「やり直しがきかない」社会となり「貧困層」という新たな階層ができ「貧富の格差」が広がった。
学校をドロップアウトしたり、中途退社するなどした人には「非正規雇用」以外の選択肢はなかった。フルで働いても生活するのが精いっぱいで、貯蓄もできないような層が増えた。都市部では家族による支援も期待できないから、当然、結婚もできない、家族は持てないし、子供を持つこともできなくなる。

このようにして日本の家庭崩壊、少子化は進行した。21世紀以降「自分たちは安心安全な立ち位置にいて、後に続く世代に、嫌な事、苦しいことを全て押し付ける」ような政策が若者たちに「明日がない生活」を強いたのだ。
既得権の上に居座る老人たちが「新自由主義者」と結託して日本を「夢の無い国」にしてしまったのだ。

「LGBTQは、種の保存の法則に抗っている」「少子化につながる」と言う人々は、マイノリティに、日本をひどい社会にした責任を転嫁しているのだ。そもそも恋愛も結婚も「子どもをつくるため」の営みではない。豊かな人生を送るための営みだ。極めて失礼で野蛮な意見だと言えよう。

「少子化」は「自分たちと同じ考え方、生き方」をしない人への「不寛容」、社会変化に対する「無知と無関心」の産物だ。

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むしろLGBTQが幸せに生きることができる社会は、いろいろな生き方をする人に寛容で、出産、子育て、教育がしやすい社会のはずだ。シングルマザー、シングルファーザーでも子育てがしやすいような「優しい社会」のはずだ。


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