エンゼルスのアート・モレノオーナーが身売りを決意したようだ。日本で聞いていると、業績不振で球団を手放すように思ってしまうが、そうではないはずだ。
2000年以降のアメリカン・リーグ15球団の1試合当たりの平均観客動員数の推移。数字に色がついているのはその年のリーグ優勝チーム。

AL-ATT


東地区はヤンキースが観客動員でも強さでも圧倒的だ。レッドソックスがそれに次ぐが、本拠地フェンウェイパークのキャパは37,731人であり、ほぼ満員と言うことだ。ブルージェイズ、オリオールズが優勝から遠ざかっているが、レイズは観客動員で苦しんでいる。

中地区は強さでも観客動員でもダントツの球団はない。動員ではタイガースが少し上で、ガーディアンス(前年までインディアンス)とロイヤルズが動員で苦労している。

そして西地区。強いのは2013年にナ・リーグから移ってきたアストロズだが、観客動員では圧倒的にエンゼルスだ。2015年からリーグ優勝がないが、西区1位の座をずっとキープしている。アスレチックスが悲惨な状況。これでは身売りもできない。マリナーズは30球団で最も優勝から遠ざかってるが、お客は入っている。

今のモレノオーナーは、2003年にディズニー社から経営を引き継いだが、この時の球団買収額は248億円、そして今は2970億円の価値があると言う。
この間にMLBのマネタイズが非常に高度化して、球団の企業価値が上がった。セリグ、マンフレッド2代のコミッショナーの手柄でもあろうが、その中でもエンゼルスは成功した部類だ。

コロナ以降、観客動員は低迷しているので楽観視はできないが、NPBよりもはるかにビジネス感覚があるので、MLBのビジネスはまだ発展するとは思う。

モレノオーナーはエンゼルスの「売り時」を見計らっていたのだろう。レンドーンと言う不良資産、トラウトと言う懸念材料がある中で「今ならエンゼルスに大谷翔平が付いてくる」条件で、売りに出す気になったのではないか。

しかしオフに売買が決定すれば、新オーナーの判断次第で大谷のWBCへの出場は微妙になる。さらに大谷翔平をトレードに出す可能性もあるから、来年の大谷の去就は微妙ではある。


NOWAR


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