阪神ファンの愚行について「一部のあほの阪神ファン」と言う言葉を使ったところ、おそらく初めて読むような読者から「あほとは何事だ」みたいな批判をいただいた。
関西以外の人間は「あほ」と言われるとプライドを傷つけられたように思う人が多いようだ。関西人を見下している東京の人に多いようだが。

「あほ」「ばか」については30年ほど前、「探偵ナイトスクープ」から派生した「アホ・バカ分布図」研究で有名だが「ばか」の方が歴史が古く、「あほ」は近世になって関西から使われ始めた新しい言葉だと言う。

実は関西でも「ばか」と言う言葉は使う。初代春団治のSPレコードでも「ばか!」と言う言葉が出てくる。ただ「ばか」は、旦那が丁稚をしかりつけるときなどに使う。叱責の意味合いが強い。これにたいしあほは、その人の「気質」「性向」に対する緩やかな「批判」だ。少なくとも関西では、そういうニュアンスの違いがある。

「あほ」「ばか」も、そのままでは差別語でも放送禁止用語でもない。人の愚かさ、愚かな行為に対する批判の言葉として使用することができる。「あほ」「ばか」が、精神異常者や知的障害者への蔑称であるかのように思う人がいて、差別語のように思う人がいるようだが。ただし、使い方次第では差別的なニュアンスを含む。「取扱注意」の言葉ではある。

大声を出すことが禁止になっている野球場で、集団で応援歌を歌う阪神ファンの行動は「愚か」だ。規範意識が希薄と言うだけでなく、勝手に「自分たちは特別」と思い込み、「阪神ファンなら許される」という甘えうかがえる。総体で言えば、それは「愚か」な行為だ。また、関西の「愚かな人」の行動パターンの一典型でもあるから、
それは「あほ」という言葉で集約できるのではないか、ということになる。全国の人には理解できないかもしれないが、それは知ったことではない。

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「ばか」となるともっときついイメージになる。「ばかな阪神ファン」となれば、暴力でも振るいそうなイメージだが、「あほな阪神ファン」は、自分達の行為に酔いしれている「甘やかな愚かさ」というニュアンスがあるのだ。

禁止されているのに、大声で歌う阪神ファンは「あほ」というのが最適だと思う。ただ「あほな阪神ファン」とは言うが「阪神ファンはあほ」とは言わない。当然の話ながら、すべてがあほではないからだ。

そういう細かいニュアンスについて理解が及ばず「あー、あほって言った―、いけないんだー」と小学生みたいなコメントをする、自身のことを「あほでないと思っている人」のなんと多いことか。

これからも「あほ」「ばか」という言葉は、適宜使っていきたい。


NOWAR


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