私は日本の野球殿堂は、恣意的な投票を何度も行って信用が大きく揺らいでいると考えている。
その最たるものは、2012年から13年にかけて津田恒美(49勝41敗90SV、防御率3.31)、大野豊(148勝100敗138SV、防御率2.90)、外木場義郎(131勝138敗3SV、防御率2.88)と、従来の殿堂入り選手の水準から大きくかけ離れた選手が立て続けに殿堂入りしたことだろう。
これは、広島の大物OBが投票権のある記者たちに働きかけて集票した結果だとされるが、特に津田と外木場は「現役中に病死した」「ノーヒットノーラン3回」と、これまで一度も選考基準に上がったことのない理由で殿堂入りしている。

いろいろ理屈はあるだろうが、こういう恣意的な投票によって、殿堂入りの権威は傷つけられたと見るべきだろう。その一方で2000本安打を打った54人のうち34人は殿堂入りしていない。津田や外木場の殿堂入りを認めるなら、これらの選手の記録も見直すべきではないか、と言う声が根強くある。

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それに比べれば「名球会」は、日米通算での2000本、200勝、250セーブと「基準」がはっきりしていた。あくまで私的な組織であるため、落合博満、榎本喜八など名球会入り資格を持っていても入会しない人がいるのが玉に瑕だが、その基準は明確だった。

名球会が「特別枠」を設けたとしても、今までの基準はなくなるわけではないだろうから、今後も目標の数字としては残るのだろうが、その一方で「あいつは頑張ったからいれてやろう」という「特別枠」ができることは、不公平感をもって受け止められかねない。
「たまたま今の時代にいたから、名球会には入れてラッキー」みたいなことが横行すれば、また昔の「仲良しOBクラブ」に戻ってしまう。改組前の「名球会」は、「金やんとハワイでゴルフをする会だ」と揶揄されたが、同様の批判はおこりうるだろう。

藤川球児と上原浩治を入会させたのなら、少し前の世代の斎藤雅樹、桑田真澄はどうなのか?打者でも松中信彦や以前、まぼろしの名誉会員だった松永浩美はどうなのか?そういう感じでいくらでも掘り返すことが可能になる。

なんとなくではあるが、名球会は松坂大輔を次の「特別枠」にしようとしているのではないかと思う。松坂大輔は2009年以降、まともなシーズンを送ってこなかった。全盛期の凄さは認めるが、彼の野球人生は「大成功」とは言えない。人気、知名度で彼を加えるとすれば、それも問題ありだ。

「数字の名球会」と「総合的な貢献度の野球殿堂」という明確な色分けがなくなってしまえば、ただただ野球界の上層部、ベテラン記者とベテランOBがお手盛りで賞を気に入った後輩に与えていると言う印象を与えてしまう。

名球会には、もっと明確な基準を決めるとともに、過去にさかのぼってその基準で昔の名選手も入会させるようにしてほしい。



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1982・83年松沼博久、全登板成績

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