NPBは年金制度が破綻している。選手はプロ野球を引退すれば、何の保証もない。MLBの場合、メジャーまで昇格すれば、手厚い年金制度が完備していて、10年選手になれば62歳以降、2500万円以上の年金を受け取れる。
もともと日本の選手年金は微々たるものだったが、それでもなくなったことはOBにとって痛手だった。
元選手たちは、野球以外の生活の糧を得るすべを知らない。勇を振るって他の業界に進む人もいるが、多くは野球界にしがみつく。球団のコーチ、職員、スタッフになることができれば重畳だが、彼らの多くは「個人事業主」のままであり、契約解除される可能性がある。巨人V9時代に先乗りスコアラーとして活躍した小松俊宏さんは、30年近く巨人で働いたが、正社員ではなかった。「退職金も何もなくて、すごく困ったんですよ」と奥さんが言った。
中にはDeNAの畠山隼のように、正社員の元選手もいるが、身分が不安定な人も多い。

2000本安打などプロ野球で大活躍した選手でも同様だ。解説者や指導者として活躍している元選手もいるが、地味なキャラでメディアで生きることができず、一般社会で地味に生きる人もいる。
そういう人にもお目にかかるが、インタビューの際に1万円、2万円と謝礼を求められることもある。

端的に言えば「野球殿堂」「名球会」は、そういう元選手の「世渡りの一助」となるという意味合いが大きいのだ。講演会などで「殿堂入り」がつけば文句なしだが、「名球会」も相当な値打ちがある。講演料も高くなるし、頻度も増えると言うものだ。元選手の名前に「箔」をつけるのだ。

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そういう意味では、今回特別枠で名球会に入った上原浩治や藤川球児は、引退後も人気があり、メディアでも活躍している。「箔」などの必要がない野球人だ。どちらかと言えば「名球会」の会員が、2人の人気にあやかりたいのでは、とさえ感じる。

「名球会」に数字以外の要素で入会できるようにルールを改訂するなら、現役時代は地味だった選手や渋い職人肌で、数字がわずかに足りない選手に「箔」をつけるような方向にしてほしいと思う。

例えば谷佳智、井端弘和、古いが木俣達彦、投手なら西口文也、星野伸之、松岡弘とか。活躍の度合いでは名球会選手にそん色ない選手で、今や球史に埋もれている選手を「再発見」するような見直しをしてほしい。

「名球会」は、かつての名選手が、その後の人生を送るうえで、少しでも役立つような存在であってほしい。



NOWAR


1982・83年松沼博久、全登板成績

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