「サンデーモーニング」は、左翼がかったニュース番組だと言われる。つまりそれは「まっとうなジャーナリズム」が機能していると言うことなのだが。
民主主義国家においてジャーナリズムの役割は「政治権力に対する、最も手厳しいウォッチャーである」ということだ。「絶対権力は絶対的に腐敗する」という大原則に基づいて、政治権力を監視し、批判すべきだということになる。
政府はすでに「広報」など自身の政策をアピールする手段を持っているのだから、政府寄りの意見を垂れ流すメディアは必要がない。あっても良いが、それが主流になるのは、民主主義社会ではよろしくないと言うことになる。

その点で、政治権力に批判的な「サンモニ」は極めてまともだ。しかし民主主義の原則を知らない最近政治に目覚めた人たち。安倍晋三に「そうだ、そうだ」と言うまでは政治なんか関心がなかった人たちは民主主義のルールをろくに知らないから、「反権力」の「サンモニ」に強く反発している。

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ほかにも政権に厳しい姿勢の番組はまだいくつかあるが、これが少なくなってきたら、日本の国はかなりやばいと言うことになろう。

MCをつとめる関口宏は7月13日で80歳になる。この番組の女性のアシスタントたちはだいたい関口事務所所属だから、この番組自体が関口宏色で作られているのではあろう。
ただ、関口宏は自分でははっきりした意見は言わず、コメンテーターに「どうなんですか」と水を向ける。するとリベラル系のコメンテーターが意見を言うと言う図式だ。

しかし当然のことながら、世間では、関口宏も「左だ」ということになっているのだろう。繰り返しになるがまっとうなスタンスではある。

またこの番組は「高齢者向け」だ。日曜朝8時にテレビの前に座っているのは、中高年層が多い。この層に向かって情報発信しているのだ。
だから「最新のトレンド」を若い人向けに紹介するような番組とは口調が違う。若い人なら知っていることでも「この点どうなんですか」と念を押して聞いたりする。
もともと左翼っぽいこの番組が気に入らない層は、そういう関口宏を「耄碌した」「MCが務まらない」などとこき下ろすのだ。

興味深いことにスポーツコーナーでは、張本勲に代表されるように、登場するコメンテーターはどちらかと言えば保守的だった。これは「お年寄り」と言う客層に合わせていたのだろう。
しかしさすがに張本勲は老化が激しいために、最近は上原浩治がレギュラーになっている。ただ上原は日本にいるとは限らないので、リモートになったり、欠席したりして「サンモニの顔」にはなっていない。

WBCの日本代表決定の話題で、関口宏がヌートバーについて「良く存じ上げない、この成績でどうして侍ジャパンに選ばれたのかな」と言ったことについて「勉強が足りない」とか「MCなんだから予習しろよ」みたいな批判の声が起こっていると言う。
BSのMLB特集ならばMCが「ヌートバーって誰」と言えば顰蹙ものだろうが、サンモニは事情をよく知らないお年寄り向けなのだ。関口が「お年寄り」代表として話を聞くのは、きわめてまっとうなアプローチだと思う。本当にMLBについて知りたい人が、こんな番組を情報源にすることはないだろうに。

世間には「サンモニはけしからん」という人がたくさんいて、彼らが「坊主憎けりゃ袈裟まで」となって関口を叩いているのだろうが、こういう番組、貴重だと思う。私は張本勲のコメントは99%気に入らなかったが、こういう極端な意見もきけることに、サンモニの値打ちがあったとも思う。

どっちつかず、当たり障りのない意見しか言わない「おりこうMC」の番組が増えている中で、私は貴重な番組だと思っている。



NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績

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