カーリングはほとんど「見るだけのスポーツ」だが、冬の楽しみとして定着したように思う。
氷上のチェスといわれる頭を使うスポーツの様だが、もちろん肉体的にも、技術的にも高度な洗練が求められるのだろう。良く知らないが。

昨日、日本最強チーム、ロコ・ソラーレのスキップ、藤沢五月がストーンを投げる際に左足が流れて転倒した。これって、あり得ないミスのように見えるが、藤沢はその直後に爆笑し、チームメイトも笑い声をあげた。

小うるさい年寄りが見れば「真剣勝負の最中になんだ!」「気合が入っとらん」みたいなことになる。野球やバレーボールでミスをして直後に爆笑したら、大顰蹙もので、下手をしたら選手交代させられるかもしれない。
しかし、カーリングにはその文化はないのだろう。ミスをしても当人を責めるのではなく、チームメイトもともに笑い合って、ミスを打ち消そうとする。
実際には、この試合はライバルの北海道銀行に負けたから、痛恨のミスだったのかもしれないが、だからと言って、そこで暗い顔をしても仕方がないのだ。

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藤沢五月は日本のトッププレイヤーであり、五輪や国際大会でも大活躍してきた。その第一人者でも失敗をする。スポーツとはそういうものなのだ。

トッププレイヤーの藤沢は、自分のミスの大きさをよく知っている。しかし彼女がそこで意気消沈したら心理戦であるカーリングではそれで終わりだ。そういう思いもあって、自分から声を上げて笑ったのだろう。ずいぶん大人だと思う。

日本の指導者の中には「なぜミスをするんだ」と怒る人が結構いる。そして「気が緩んでいるからだ」とか「練習が足りないからだ」と責めたりする。「減点方式」の指導が主流だったのだ。

しかしそういう指導では選手は「失敗してはいけない」と委縮しがちだ。十分に実力を発揮できないことも多い。

カーリングと言う新しいスポーツには、そういう陰湿な部分がないのだろう。結構なことだと思う。

失敗したくて失敗する奴など、一人もいないのだ。痛恨の思いは、本人が一番持っている。ミスを非難せず、選手を否定しない、そんなメジャーな気持ちが、スポーツを進化させるのではないか。


NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績

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