朝のラグビーの話題は胸糞の悪くなるようなニュースではあったが、不祥事を起こしたスポーツ選手「あるある」でもあった。
スポーツ選手は、立派な体をしているにもかかわらず、一人ではおとなしい場合が多い。特に年長者、目上の人がいるときには、借りてきた猫のような態度をとる。で、偉い人がいなくなると、途端に態度が大きくなる。

ところが仲間内で集まると、大声を挙げたり、荒っぽいふるまいをすることがある。打ち上げ、飲み会になるとなおさらだ。彼らの間に一時的に「どれほど馬鹿をやるか」で価値が決まるような空気になり、どんどんエスカレートする。今回の日野自動車ラグビー部など、絵に描いたようではある。

しかし、ひとたび事件になると、彼らは逃げ回る。責任をとろうとする人はあまりいない。馬鹿をやった張本人たちは、馬鹿をやろうとはっきり自覚してやったのではなく、周りの空気に酔って、周囲に踊らされてやらかしたのだから「自分には責任がない」と言いたい部分がかなりあるのだ。
誰かにすがりたい、助けてもらいたいと言う気持ちが大きくなり、それがかなわなくても、なんとかうまくやり過ごしたいと思う気持ちになる。

不祥事を起こして、自分から進んで謝罪するアスリートはめったにいない。上の人や、マネジメント会社、親会社などにすがって、メディアに顔を出さず、誰にも謝罪せずに、世間が忘れ去るのを待ちたいと言う気になる。

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謝罪する段になっても、自らの行状を振り返って真摯に反省する選手は少ない。ほとんどが要領を得ない言い訳をしたうえで「試合で結果を出してファンにお返ししたい」的なことを言う。
26年ほど前にNPB選手が脱税事件を起こし有罪判決を受けたときの選手も同様のことを言ったが、裁判官から
「たとえ、被告人が3割、3割5分打っても、15勝挙げようとも関係ない。社会人として、してはならないことを忘れてしまうとグラウンドで活躍できなくなる」
と厳しい言葉で諭されている。

プロ野球の球団や、他のスポーツのチームなども、正面切って謝罪することはほとんどない。体育会系の常として、そういう「文化」が出来上がっているのだろう。

一般企業では「リスク回避の技術」が定着している。
まず「バッドニュースは早く」で、メディアが騒ぐ前にできるだけ早く情報を開示する。そのうえで非があるのなら、一番地位の高い人間が事実関係を説明し、謝罪すべきところは率直に謝罪することが求められる。この時に言い訳や責任転嫁は、世間の反応をこじらせるからしてはいけない。当事者、現場に非がある場合は、それらの人間も率直に謝罪する。
そのうえで、関係する人間が、相応のペナルティに服することで鎮静化を図る。
もちろん、ひどい問題行動を起こした人間は、排除される。

スポーツ界で、こうしたスタンダードなリスクヘッジをした事例は寡聞にして聞かない。

大体において、スポーツ選手、スポーツ界はおくびょうで、卑怯な態度をとりがちだ。

それは、誰も根源的な責任を取らずに、誰かに寄りかかって生きてきた、日本組織の宿痾なのかもしれない。日本のスポーツはその典型なのだ。

日本においては、健全な肉体に、健全な精神が宿るとは言えないのだ。



NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績

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