「暗黙のルールがある野球は、スポーツマンシップに反している。スポーツとは言えない」と言うコメントを貰った。不勉強としか言いようがない。
MLBなどの「暗黙のルール=アンリトゥンルール」は何のために行われているのか?
例えば大差がついた試合で、盗塁やバントをしないとか、ノーヒットノーランがかかっている試合でバントヒットを狙わないとか、これは「相手のチーム、選手に失礼なプレーはしない」ということだ。

大差がついた試合で盗塁やバントをするのは、相手チームに恥をかかせることになる。あるいは「個人記録」だけのためのプレーであり、チームプレーではない。
ノーヒットノーランのような大記録を目指す投手には「正々堂々と勝負すべき」であって、姑息な手を使うのは相手投手に失礼だ。
そういう感覚だといえようか?MLBの場合、暗黙のルールに反した打者は頭部付近にボールを投げられるなど、報復行為を受ける。

暗黙のルールは、他のスポーツにも見られるが、これは選手、チームが無用のストレスなく試合をするための「方便」のようなものだと言えよう。

スポーツマンシップの考えでは、チームメイト、相手選手、審判、競技そのものを「リスペクトする」ことが前提となっている。

例えば、日本では少年野球で実力差があるチームが対戦した際に、四球で出塁して盗塁しまくるチームがある。このチームは「ルールに違反はしていない」が、相手チームへのリスペクトに欠けていると言える。
では、力量差があるチームが対戦した時にどう対応するのが、スポーツマンシップ的に正しいのだろうか?
そもそもこうした対戦を組まないことが大事だが、対戦した時に強いチームは、四球を選ばず積極的に打っていくべきだ。またむやみに盗塁せずに打者が打った時に走るべきだ。また、投手は弱い打者に対しては真っすぐをストライクゾーンに投げ込むべきだ。

IMG_6760


海外での少年野球の対戦ではふつうにみられる。これなど「暗黙のルール」と言ってよい。スポーツマンシップの考え方では弱いチームにも十分にプレーさせるべきである。

このように書くと、日本の多くの人は「そんなの八百長じゃないか」みたいな反応がある。日本のメジャーなスポーツはトーナメントが多く、2度と対戦しない相手も多いから「勝ちまくっても良い」と言う風潮になるが、何度も対戦するリーグ戦の場合、相手をリスペクトし、相手にも十分にプレーさせる必要があるのだ。

これは野球だけではなく、あらゆる競技にいえることだ。「手加減する」ことは、スポーツにとって大事なことだ。

もちろんMLBの「アンリトゥンルール」のような「報復行為」は認められないが、相手チームの実力によって「プレースタイルを変えること」は、暗黙のルール、あるいは「マナー」として「心得ておくべきこと」になっているのだ。

非常に微妙な話なのは間違いないが、スポーツマンシップ的には「あり」のはなしだ。

「暗黙のルールがあるスポーツなんて、スポーツじゃない」というのは、スポーツマンシップを知らない無知な人の言い草だと言ってもよい。


NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!