「昔に比べれば、プロ野球のキャンプは楽になった」と言われる。確かに、今のキャンプは10時過ぎ(ソフトバンクは11時)にグラウンドに集まってアップが始まり、キャッチボールやノックなどがおわると全体練習は終わり。
昼からは、投手はブルペンに、打者は打撃練習、その間に特守をやったりランニングをしたりいろいろやるが、14時ころには宿舎に戻るバスがでる。遅い選手もいるが16時にはキャンプ場は閉まってしまう。

「昔は朝から日没まで、必死に練習したものだ。イチローは夜中もバットを振っていた」みたいな話も聞く。

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しかしプロ野球は長いキャンプをしていた時代よりも、確実に進化している。球速も打球速度も上がり、スピード感も増した。
こうした「野球の進化」は、猛練習のたまものではなく、MLBの影響が大きい。根性論ではなく、合理的な練習法や技術論がMLBから入り、データ野球も導入された。何よりNPBからMLBに移籍して。自分自身でMLBの野球を実感する日本人選手が増えてきて、NPBは進化したのだ。

そのMLBのキャンプでは、練習は9時ころに始まって全員が昼前には引き上げてしまう。「もっと練習がしたい」と言ってもできない。
しかしその3時間弱の練習は緩くはないのだ。仁志敏久さんはマイナーリーグのキャンプに参加したが、打撃も守備も極めて合理的にスケジュールが組まれ、選手は休む間もなく様々な練習をこなしていく。
日本のキャンプは一つのメニューが終わるとかなり長いインターバルがあって、次のメニューに移行するが、MLBでははるかに密度が濃い。

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そのうえで、さらに練習をしたいとか、特定の課題に取り組みたい選手は、チームに頼るのではなく自分でトレーニング場をみつけて練習するのだ。その部分も合理的だ。

日本の春季キャンプでは練習を「やらされる」と言う感覚だが、アメリカでは練習は「やる」ものだ。それ以上の鍛錬も自分の意志で「やる」わけだ。

人から言われて練習をするか、主体性をもって鍛えるか、その違いが大きいのではないか。
日本のプロ野球のレベルが上がったのは「主体性」を持った選手が増えてきたからだろう。



NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績

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