東洋経済オンライン
高校球児の「ケガ予防」に大規模検診が始まった訳 「甲子園至上主義」による支配からの脱却
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口を酸っぱくして論じても、関心がない人、認めたがらない人の目には止まらないし、目に留まっても理解しない、理解できない。

この手のコメント、うんざりするほど目にしている。何度言ってもこういうのが来るのだ。

「アメリカでトミージョン手術を受けてる人の約6割が高校生」だと
トミージョン手術大国で、そのうちの約6割が高校生による手術って異常なことだと思います。
ところが日本のマスコミはこのことを報道しなかった。佐々木投手の時にも
「アメリカの球数制限を見習え」と
アメリカでは2019年にも高校生のトミージョン手術は2015年と変わらないと報道されています。これをどう見るか。球数制限されているはずのアメリカの高校生の肘が壊れまくってる事実を。
日本ではこのことを記事にしない、もしくは記事中で語らないのが謎なんですよね。


アメリカでトミージョン手術が増えているのは、靱帯損傷をそのままにせず、再建手術を選択することが一般化しているからだ。トミージョン手術そのものも極めて進歩している。大谷翔平がそうであったように、完全治癒までの時間も短縮しているし、リハビリ期間も短くなっている。そのうえトミージョン手術は若いうちに受けた方が、治癒率も回復率も高いことが明らかになっている。

日本ではトミージョン手術は、大層な手術のように思われているので、アメリカの基準なら当然、手術すべきところをそうしない。そもそも「野球肘検診」が普及していないから、靱帯がヤバくなっていてもわからない、あるいは「知りたくない」から検診を受けない選手、親がたくさんいるのだ。
日本ではいまだに「トミージョン手術を受けるようではおしまい」みたいな感覚が根強く残っているのだ。

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もう一つ、トミージョン手術が増えているのは、投手の球速が上がったからだ。
米国スポーツ医学研究所(ASMI)研究主任で大リーグ機構アドバイザーのグレン・フライシグ(Glenn. S. Fleisig, Ph.D)博士は、投手が肘を故障する要因は、「投球数」「投球のメカニクス」「球速」「球種」「マウンド」としている。これは日米の投手の調査から得た結論だ。
特に球速(投球強度)が上がれば、少ない球数でも肘の靱帯が飛ぶことがあるのだ。球数制限は導入して当然だが、球速が上がれば靱帯損傷のリスクは高まるのだ。

だからトミージョン手術が増えている。
10代の子供の球速が上がるのは、決して良いことでない。アメリカでは、100マイル近い球を投げる子を「ショーウィンドー」と呼ばれる大会でスカウトに見せることが一時期はやった。「ピッチスマート」はそうした教訓もあって生まれたのだ。

こういう背景を、全く理解せず、あほの野球評論家の理屈をそのまま信じて、吹聴する無責任な連中が無くならない。これは本当に残念なことだと思う。そんなのでもいっぱしの意見のように見えてしまうのは残念過ぎる。



NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績

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