小泉悠というロシア軍事専門家は、少し前まではちょっとヲタクがかったミリタリー専門誌でも名前を見たが、非常にしっかりした学究の徒だと改めて認識した。
「ウクライナ戦争」ではいくつも示唆に富んだ指摘をしている。何回かに分けて紹介したい。
一つはプーチンの国民観だ。
プーチンは、ロシア国民を自分たちでは物事の判断ができない民だとみている。だから、為政者が教え導かなくてはならない。
自分で考える能力がないのだから、プーチンの政治、国家の方針に反対するような意見が、ロシア国民の中から起こるはずがない。必ずや、外国の勢力が国民に間違った意見を吹き込んで洗脳しているに違いない。
「プーチンは国民の異議申し立てを『外国の干渉』と見なしていた。例えば2011年12月に発生した下院選不正疑惑に対する抗議デモについて、その参加者が『西側から金を貰っている』と述べている」
プーチンは、ウクライナをロシアの属国、あるいはロシアの一地方の国民とみなしている。だから、プーチンにとってウクライナ人も、ロシア人同様自国民であり、同様に自分で考えたり、判断したりする能力はないと考えている。

プーチンがいつごろからウクライナ侵略を考えていたのかには諸説あるが、小泉悠の著書によると2021年に発表されたプーチンの論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」では「ウクライナの真の主権は、ロシアとのパートナーシップによってのみ可能となる」と明記されていた。
プーチンは「ウクライナにネオナチ勢力が台頭し、ロシア系住民の安全が脅かされている」として2014年にはクリミア半島を併合したが、それは口実に過ぎず、プーチンが最初からウクライナに領土的欲望を抱いていたことがこれからわかる。
プーチンは昨年2月24日のウクライナ侵攻を突発的に思いついたわけではない。
それ以前にロシア側はウクライナ国内に多くの「民間警備会社」を設立していた。これらの会社は、ロシアの侵攻が始まるとロシア軍をウクライナ国内に導きいれる手引き役となる算段をつけていた。
また、ウクライナの諜報機関FSBにもロシアと内通した人物を多数配置した。彼らは戦争がはじまると、ウクライナ国民にロシアに降伏するように訴えかけ、ロシアがウクライナを占領した暁には、傀儡政権を作ることまで考えていた。
しかしながら、いざ戦争が始まってみると、ウクライナ軍は予想をはるかに上回る勇敢さでロシアを撃退。国民の大部分もこれを支援し、進んで軍隊に身を投じた。きわめて勇敢に戦ったのだ。
ロシアが事前に工作していた「民間警備会社」の社員や、諜報機関FSBの内通者はあっという間に逃げてしまった。
民主主義国では、国民は為政者の意のままに動くことはない。プーチンはロシア人も他国の民も似たようなものだと思い、馬鹿にしていたのだが、そうではなかったのだ。
プーチンの「国民観」の「現実との齟齬」これが、ウクライナ戦争のシナリオを大きく変えたのだ。

1960~62年柿本実、全登板成績
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プーチンは、ロシア国民を自分たちでは物事の判断ができない民だとみている。だから、為政者が教え導かなくてはならない。
自分で考える能力がないのだから、プーチンの政治、国家の方針に反対するような意見が、ロシア国民の中から起こるはずがない。必ずや、外国の勢力が国民に間違った意見を吹き込んで洗脳しているに違いない。
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プーチンは、ウクライナをロシアの属国、あるいはロシアの一地方の国民とみなしている。だから、プーチンにとってウクライナ人も、ロシア人同様自国民であり、同様に自分で考えたり、判断したりする能力はないと考えている。

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プーチンは「ウクライナにネオナチ勢力が台頭し、ロシア系住民の安全が脅かされている」として2014年にはクリミア半島を併合したが、それは口実に過ぎず、プーチンが最初からウクライナに領土的欲望を抱いていたことがこれからわかる。
プーチンは昨年2月24日のウクライナ侵攻を突発的に思いついたわけではない。
それ以前にロシア側はウクライナ国内に多くの「民間警備会社」を設立していた。これらの会社は、ロシアの侵攻が始まるとロシア軍をウクライナ国内に導きいれる手引き役となる算段をつけていた。
また、ウクライナの諜報機関FSBにもロシアと内通した人物を多数配置した。彼らは戦争がはじまると、ウクライナ国民にロシアに降伏するように訴えかけ、ロシアがウクライナを占領した暁には、傀儡政権を作ることまで考えていた。
しかしながら、いざ戦争が始まってみると、ウクライナ軍は予想をはるかに上回る勇敢さでロシアを撃退。国民の大部分もこれを支援し、進んで軍隊に身を投じた。きわめて勇敢に戦ったのだ。
ロシアが事前に工作していた「民間警備会社」の社員や、諜報機関FSBの内通者はあっという間に逃げてしまった。
民主主義国では、国民は為政者の意のままに動くことはない。プーチンはロシア人も他国の民も似たようなものだと思い、馬鹿にしていたのだが、そうではなかったのだ。
プーチンの「国民観」の「現実との齟齬」これが、ウクライナ戦争のシナリオを大きく変えたのだ。

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